中村啓次郎

中村啓次郎について

中村啓次郎（1867年11月10日 - 1937年5月22日）は、明治から昭和の時代にかけて活躍した日本の政治家、弁護士、実業家です。和歌山県に生まれた中村は、英吉利法律学校を卒業後に政治や法律の分野で大きな足跡を残しました。彼は衆議院議員としてはもちろん、銀行業界でも重要な役割を果たしました。

早期のキャリア

日清戦争の際には陸軍省雇員として働き、その後は占領地総督府民政部において、庶務課長と司法課長を兼任する重要な職務を経験しました。1895年には台湾に移住し、弁護士としてキャリアを築きました。台湾では、台湾弁護士会の会長や北港製糖、台湾瓦斯の監査役、北海鉱業社長などの様々な役職に就き、その間に『日刊台湾民報』を発刊しました。

政治活動

中村は1908年5月の第10回衆議院議員総選挙で、和歌山県郡部区から立憲政友会の候補として初当選しました。以後、彼は数回の選挙を経て、衆議院議員としての地位を確立しました。特に、第15回総選挙では政友本党から出馬し再び当選し、その後も立憲民政党から選出されるなど、通算で6回の当選を果たしました。

1932年には第18回総選挙で落選しましたが、彼の政治活動はその後も続きました。中村は政友本党の総務や立憲民政党の総務および顧問として、党内でも重要な役割を担いました。1930年12月には濱口内閣の逓信政務次官としても重責を果たしました。

また、1931年12月には第29代衆議院議長に選出されています。在任中には日本政府が署名した不戦条約の解釈に関する批判があった際、彼はその収拾に尽力しました。

晩年と死去

晩年の中村は脳溢血を患い、1936年には政界からの引退を表明しました。1937年5月22日、彼は東京都麻布桜田町の自宅で亡くなりました。彼の墓所は多磨霊園にあります。

著書

中村啓次郎は著作も残しており、特に『警鐘は鳴る』（1925年、政治経済通信社）は彼が提起した政治的見解を示す一冊となっています。

参考文献

• -衆議院・参議院編『議会制度七十年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1962年。
• -『新訂 政治家人名事典 明治～昭和』日外アソシエーツ、2003年。ISBN 9784816918056。

中村啓次郎の生涯は、彼が日本の近代政治や法律の発展に寄与したことを示す重要な業績に彩られています。

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