中村芝翫 (7代目)

七代目 中村 芝翫について

七代目中村芝翫（しちだいめ なかむら しかん、1928年3月11日 - 2011年10月10日）は、日本の著名な歌舞伎役者で、成駒屋に所属し、数々の名演を残しました。彼は重要無形文化財保持者であり、人間国宝としても知られています。

幼少期と初舞台

芝翫の本名は中村眞喜雄で、後に中村榮次郎と改名しました。彼は早世した成駒屋五代目中村福助の長男として生まれ、幼少時に父と祖父を亡くしながらも、歌舞伎の道を歩み続けました。1933年に歌舞伎座で『桐一葉』に女童として初舞台を踏みました。この時、彼は四代目中村兒太郎を名乗り、目にした観客の心を掴みました。

名跡の襲名と活躍

祖父の死後、彼は名を「榮次郎」に改め、六代目中村歌右衛門とともに、六代目尾上菊五郎に師事。1941年には七代目中村福助を襲名し、戦後は女形として活躍を重ねました。1967年には七代目中村芝翫を襲名し、以降は名だたる作品に出演。

彼の演じた代表的な役は、女形としての『仮名手本忠臣蔵』の顔世御前やお軽、戸無瀬、『義経千本桜』の静御前、維盛などがあるだけでなく、立役としての『勧進帳』での義経など様々な役をこなしました。特に彼の気品に満ちた演技は多くの観客に愛され、歌舞伎界での存在感を確立しました。

組織での活動

なお、2008年から日本俳優協会の会長として業界を牽引し、2009年には伝統歌舞伎保存会の会長にも就任。彼の影響力は演技の枠を超え、歌舞伎の振興にも大きく寄与しました。

最晩年と晩年の活動

2011年、芝翫は肝不全により亡くなりました。最後の舞台は同年9月の新橋演舞場であり、彼の死後には数々の葬儀が行われ、正四位と旭日重光章が追贈されました。晩年には家族にも恵まれ、力強い存在感のまま歌舞伎界に君臨しました。

家族と後継者

彼の遺言により、2016年に次男の三代目橋之助が八代目として芝翫を襲名しました。芝翫の家族には長男の九代目中村福助や次男の八代目中村芝翫を始め、多くの後継者がいます。梨園の伝統を受け継ぎ、今もなおその技が生かされています。

受賞歴と評価

芝翫は数々の受賞歴を持ち、1959年の毎日演劇賞、1967年の芸術選奨文部大臣賞、1989年の紫綬褒章、1999年の勲三等瑞宝章など、その業績が高く評価されています。重要無形文化財保持者としても認められ、歌舞伎の継承者としての役割を果たしました。

趣味と逸話

趣味として競馬を愛し、特に印象深いレースについて語ったこともあります。亡くなる前に自らの棺に花を入れないよう願ったエピソードは、彼の個性的な人柄を物語っています。さらに、家族との絆や他の役者との交流など、歌舞伎界での生活も賑やかなものでした。彼が築いた数多くの人間関係は、今でも彼を偲ぶ人々の心に生き続けています。

結論

中村芝翫の生涯は、ただ舞台の上での名演だけでなく、歌舞伎界全体への影響も計り知れません。彼の業績や人間性は、多くの後進に語り継がれ、歌舞伎文化の一端を担い続けることでしょう。

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