丸亀町 (高松市)

丸亀町

香川県高松市の中心市街地に位置する丸亀町は、郵便番号760-0029を持つ町丁です。ここでは住居表示に関する法律に基づく住居表示は実施されていませんが、香川県を代表する重要な商業エリアとして広く認識されています。

地理的特徴

高松市役所からわずか0.3kmの距離にある丸亀町は、高松の都心部に位置しています。町域は、高松中央商店街の一部をなす主要な市道、丸亀町商店街（市道丸亀町栗林線）を挟んで東西に広がる南北に細長い両側町です。この丸亀町商店街は、全長約470mにわたるアーケード付きの歩行者専用道路で、日中は多くの買い物客や通行人で賑わいます。歴史的には、かつて高松城下から延びる仏生山街道と琴平街道という二つの重要な街道がこの道筋を経由しており、常磐橋（現在の丸亀町ドーム北側）から南下して栗林町で分岐していました。

2015年の国勢調査によると、丸亀町の人口は293人（男性143人、女性150人）、世帯数は180世帯です。町域の面積は約3万2507平方メートルで、人口密度は約9014人/平方キロメートルとなっています。公立の小学校・中学校の校区は、全域が新番丁小学校と紫雲中学校に属しています。都市計画法に基づく用途地域は全域が商業地域と定められており、容積率は国道11号高松北バイパス沿いが600%、それ以外の区域は500%に指定されています。

歴史

丸亀町の町名は、江戸時代初期に由来します。1610年（慶長15年）、当時の領主であった生駒正俊が、那珂郡丸亀（現在の丸亀市）から商人をこの地に移住させたことに始まると伝えられています。1640年（寛永17年）に作成された城下絵図には、丸亀町を中心にその東西に各職人町が整然と配置された様子が描かれています。また、1789年（寛政元年）の絵図などから、江戸時代の当町は北から順に一丁目から四丁目に分かれていたことがわかります。町内の有力な商家であった奈良屋は、その祖先が十河城主十河存保とされ、南新町の三倉屋、塩屋町の木屋と並んで「高松の三人衆」と称されました。彼らは高松藩の御用商人として、名字帯刀を許され三人扶持を受けていました。また、幕末期には津国屋忠五郎ら9人の砂糖会所引請人がおり、当町が高松藩の砂糖流通統制において重要な役割を担っていました。江戸時代の当町は新井戸から配水を受けていたと推測されており、1853年（嘉永6年）の記録によれば、当町から新井戸水道の年賦銀が納められています。さらに、1868年（慶応4年）の戊辰戦争では、高松城に進駐した土佐征討軍の総督、深尾丹波が奈良屋を宿舎として利用しました。

明治時代に入ると、有力商店主たちの活動が活発になります。1875年（明治8年）、奈良屋当主の十河権三郎らは、伏石屋や川崎屋、三倉屋、木屋、大和屋といった他の有力商店主たちと共に、兵庫町に博文社を設立しました。1878年（明治11年）には、後に香川県内最大手となる第百十四国立銀行（現在の百十四銀行）が町内に設立されましたが、当初の出資者のほとんどは士族であり、士族銀行としての性格を持っていました。教育面では、1882年（明治15年）に竹堂林賢（通称・滝三郎）が葆真学舎を町内に開設し（異説あり）、漢学に加え英語や数学も教えていましたが、後に新通町に移転しました。1890年（明治23年）2月15日には、それまで城下町の集合体であった高松の区域を以って市制が施行され高松市が誕生し、丸亀町はその一部となりました。文明開化の波に乗り、1895年（明治28年）4月に高松電灯が設立されると、同年11月には四国で初めて当町と兵庫町に電灯が灯されました。また、百十四銀行に次ぐ銀行として、1895年（明治28年）12月27日には高松貯蓄銀行が設立されましたが、これは1900年（明治33年）7月1日に高松百十四銀行（現在の百十四銀行）に吸収合併されました。

昭和に入り、1945年（昭和20年）7月4日未明には、アメリカ軍による無差別絨毯爆撃である高松空襲を受け、町内は壊滅的な被害に見舞われました。空襲で甚大な被害を受けた高松市中心部では、その後の戦災復興土地区画整理事業が大規模に実施され、丸亀町も第一工区一次として対象となり、町内の多くの街路が拡張・改良されました。この区画整理事業の完工を示す換地処分公告は1958年（昭和33年）7月10日に行われました。翌日の7月11日には、当町の一部が片原町、兵庫町、今新町、紺屋町に編入される一方、南新町の旧一丁目の大部分や古馬場町、東瓦町、南鍛冶屋町、外磨屋町、南紺屋町の各一部が当町に編入され、現在の町域がほぼ確定しました。

戦後、丸亀町は四国の玄関口である高松の骨格をなす高松中央商店街の中核として、四国随一の賑わいを誇りました。しかし、1980年代に入ると、瀬戸大橋開通による物流構造の変化に伴い本州資本のチェーン店が進出し、同時に自動車社会化と郊外型商業施設の開業が進んだ結果、中心市街地の歩行者数が減少し始めました。さらにバブル景気による地価高騰が追い打ちをかけ、周辺地域から居住者が流出するドーナツ化現象が顕著になりました。これにより、客単価の低い日用買回り品を扱う小売店が経営困難となり、南北470m、157店舗のうち半数以上が洋服店や高級ブティックといった偏った品揃えの商店街となってしまいました。そのままバブル崩壊を迎えると、デフレ経済下で高級洋服店中心の商店街は消費者の支持を完全に失い、状況は一層厳しさを増しました。

こうした危機感から、街の再生を目指す商店主たちが1990年（平成2年）に「高松丸亀町商店街再開発計画」を始動させました。この計画は、複雑な権利関係の整理や具体的な手法の検討に十数年を要しましたが、所有権と利用権を分離する定期借地権や、段階的に開発を進める連鎖的手法を採用することにより、実現へと繋がりました。その結果、2006年（平成18年）のA街区（高松丸亀町壱番街）を皮切りに、2007年（平成19年）の北部三町ドーム、2009年（平成21年）のB街区（高松丸亀町弐番街）とC街区東館（高松丸亀町参番街東館）、2010年（平成22年）のC街区西館（高松丸亀町参番街西館）、そして2012年（平成24年）のG街区（丸亀町グリーン）が次々と竣工しました。一連の再開発事業は、かつて全国的に成功例が少なかった商店街活性化のモデル事業として注目され、多くの他自治体からの視察が相次いでいます。

再開発の効果

大規模な再開発プロジェクトの完了により、減少傾向にあった丸亀町商店街の歩行者数は下げ止まり、特に休日には増加が見られるようになりました。また、街の価値を示す路線価も上昇し、長年香川県内最高額地点であった中央通りと並ぶ水準に達しました。再開発は、老朽化した狭隘な既存建物を更新し、道幅も拡幅するなど、都市基盤の改善にも大きく貢献しています。

主要施設

再開発ビルを中心に、多様な店舗や施設が集積しています。

丸亀町壱番街: ティファニー、サンマルクカフェなど
丸亀町弐番街: ABCマート、名物かまど、ザラ、ヴィレッジヴァンガード、ダイソーなど
丸亀町参番街: ワイモバイル、auショップ、はるやま、中国銀行、ソフトバンク、宮脇書店、セガミワンズワン、スターバックスコーヒー、ファミリーマート、香川県赤十字血液センター献血ルーム、トゥモローランド、ルピシアなど
丸亀町グリーン: ザ・ノースフェイス、アイアイ イスズ ブライダル、高松ロフト、チャーリー、URBAN RESEARCH DOORS、タワーレコード、ダイワロイネットホテル、四国銀行、ファミリーマート、ユナイテッドアローズグリーンレーベル リラクシング、無印良品、岩佐佛喜堂、セブン-イレブンなど

また、百十四銀行本店も町内に位置しています。

丸亀町は、歴史的な商業地としての伝統を受け継ぎつつ、大胆な再開発によって現代の都市機能と魅力的な商業環境を両立させた、再生型商店街の成功例として、その存在感を放っています。

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