丸付きマイナス

丸付きマイナス（⊖）は、円の中にマイナス記号（−）を配置した記号で、囲み文字の一種です。この記号は、特に自然科学の分野で様々な用途に用いられています。

物理学および化学における用途

物理学や化学においては、主に以下の目的で使用されます。

電子の表現: 電子を「⊖」で表記し、電気回路図などで電子の流れを示す際に矢印と組み合わせて使用されます。
陰イオンの表現: 電気分解などの反応において、陰イオンを表す記号として用いられます。例えば、塩化物イオン(Cl−)のような陰イオンを「⊖」で表現することがあります。
エネルギー表現: 化学反応式において、電子のエネルギー状態をE⊖のように表記することがあります。

また、熱力学の分野では標準状態を示す記号として使われることがありますが、厳密には「⦵ (U+29B5, CIRCLE WITH HORIZONTAL BAR)」を用いるのが正しいとされています。

数学における用途

数学では、丸付きマイナスは集合の対称差を表す記号として使用されます。対称差とは、二つの集合のどちらか一方にのみ含まれる要素の集合のことです。例えば、集合Aと集合Bの対称差は、(A∪B) - (A∩B)で表され、AとBのどちらか一方にのみ含まれる要素の集合を表します。

コンピュータにおける用途

ISO 2047規格では、7ビット符号化文字セットの制御文字である「ESC」（拡張）を表す記号として、丸付きマイナスが用いられています。これは、情報処理におけるグラフィカルな表現として利用されます。

その他の用途

丸付きマイナスは、単なる記号としても使用され、○や◎などの他の円形の記号との区別を明確にするために用いられることがあります。例えば、リストや箇条書きにおいて、異なる種類の項目を区別する目的で使用されることがあります。

形状が類似した文字

丸付きマイナスと形状が似ている文字には以下のようなものがあります。

Θ（ギリシャ文字シータ）: ギリシャ文字の8番目の文字で、数学や物理学で角度などを表す記号として使用されます。
ɵ（発音記号の円唇中舌半狭母音）: 国際音声記号（IPA）で、特定の母音を表す記号として使用されます。

符号位置

丸付きマイナスの符号位置は、Unicodeで以下の通りです。

U+2296 : CIRCLED MINUS

関連項目

囲み文字: 文字を円や四角などの記号で囲んだ文字の総称。
丸数字: 数字を円で囲んだ記号。①, ②, ③など。
* プラス記号とマイナス記号: 加算と減算を表す基本的な記号。

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