囲み文字

囲み文字とは

囲み文字とは、一つまたは複数の文字を、○（丸）、□（四角）、△（三角）、◇（菱形）、▽（逆三角）、◎（二重丸）などの図形記号で囲んだ記号のことです。通常は、白抜きの記号の中に文字を入れますが、●（黒丸）や■（黒四角）などの黒い記号に白抜き文字を用いる場合もあります。多くのケースでは、特定の単語の頭文字などを用いて、その単語を表現するために使われます。

歴史と概要

囲み文字は、日本語において古くから使われており、かつては屋号などにも用いられていました。特に丸、四角、菱形などがよく使われ、その屋号がそのまま商号や企業名になっている例も多く見られます。現代では、テレビの番組表や電話帳など、限られたスペースに情報を表示する必要がある場面で、頻繁に使用されています。

日本語以外でも、著作権を示す©（丸囲みC）や登録商標を示す®（丸囲みR）などの記号は広く使われています。また、丸で数字を囲んだ丸数字も、日常的に目にすることが多いでしょう。

コンピューターでの実装

コンピューターで囲み文字を扱うには、主に3つの実装方法があります。

1. 専用の符号点を割り当てる: 各囲み文字に、通常の文字と同様に専用の符号点を割り当てる方法です。フォントにその符号点に対応するグリフ（文字の形）が収録されていれば、アプリケーション側で特別な処理をする必要なく表示できます。Unicodeでは、多くの囲み文字がこの方法で実装されています。
2. 囲まれる文字と書式情報で表現する: ワードプロセッサなどのアプリケーションで、特定の文字を囲む書式情報として扱う方法です。この方法では、アプリケーションが囲み文字の描画処理を担当するため、アプリケーション間での互換性が低いという問題があります。
3. 囲まれる文字と合成用文字で表現する: 囲まれる文字の後ろに、丸や四角などの図形を表す合成用文字を付加する方法です。この方法も、アプリケーションとフォントの両方が対応している必要があり、必ずしも意図通りに表示されるとは限りません。

専用の符号点

専用の符号点を持つ囲み文字は、フォントにさえ収録されていれば、アプリケーションレベルでの特別な対応は不要で表示できます。例えば、ISO/IEC 8859-1 (Latin-1) には、©と®が収録されています。

日本語の文字コード規格であるJIS X 0208には、囲み文字は含まれていませんでしたが、各メーカーが独自に外字として実装していました。JIS X 0213では、一部の囲み文字（五十音順の最初の20字と、いろは順の最初の7字）が採用されています。

Unicodeは、過去の様々な文字コード規格に含まれていた囲み文字を多く採用しており、以下のブロックに収録されています。

囲み英数字 (Enclosed Alphanumerics, U+2460..U+24FF)
囲みCJK文字・月 (Enclosed CJK Letters and Months, U+3200..U+32FF)
囲み英数字補助 (Enclosed Alphanumeric Supplement, U+1F100..U+1F1FF)
囲み漢字補助 (Enclosed Ideographic Supplement, U+1F200..U+1F2FF)

放送業界では、文字放送やデータ放送で囲み文字が頻繁に使用されるため、電波産業会 (ARIB) が定めたARIB外字にも多くの囲み文字が含まれています。これらの外字に対応したフォントも販売されており、フリーで利用できるものもあります。

書式情報と合成用文字

ワープロソフトでは、特定の文字を囲むことで囲み文字を作成できます。この方法はアプリケーションレベルでの対応で済むものの、互換性に欠ける場合があります。

合成用文字は、JIS X 0208の古いバージョンで「合成用丸」が定義されていましたが、現在は廃止されています。Unicodeには、合成用丸、合成用四角などの記号が収録されていますが、アプリケーションとフォントの両方が対応していないと、正しく表示されないことがあります。

Unicodeの囲み文字

Unicodeには、数字、ラテン[[文字]]、仮名文字、ハングル、漢字、数学記号など、多種多様な囲み文字が収録されています。これらの文字は、主に以下のブロックに収録されています。

囲み英数字
囲みCJK文字・月
囲み英数字補助
囲み漢字補助

囲み文字の用途

囲み文字は、主に以下の用途で使用されます。

箇条書きや注記の番号: 数字や仮名文字の囲み文字は、箇条書きや図表の注記などで、番号を振る際に使われます。
数学: 数学では、多角形などで整数を囲み、特定の演算を表すことがあります。
地図記号: 地図記号では、病院、地下鉄、駐車場などの施設を、囲み文字で表すことがあります。例えば、アメリカ合衆国国立公園局の地図記号では、囲みHが病院、囲みMが地下[[鉄駅]]、囲みPが駐車場を表します。
著作権・商標: ©、℗、®は、それぞれ著作権、原盤権、登録商標を意味します。
電気用図記号: 回路図では、電流計、電圧計などを表すのに、丸囲み文字が使われます。例えば、Ⓐは電流計、Ⓥは電圧計を表します。
その他: その他にも、血液型やアナーキズムのシンボル、隠し情報を示す記号など、様々な用途で囲み文字が使用されています。

様々な分野での囲み文字

番組表: 番組表では、四角囲み文字がよく使用されます。
家紋: 家紋には、漢字や仮名文字を囲んだものがあります。例えば、島津氏の家紋である「丸に十の字」などがあります。
時刻表: 鉄道の時刻表では、目的地の名称を囲み文字で表現することがあります。
帳票: 帳票では、印鑑を押す箇所に「㊞」と書かれていることがあります。
警察用語: 警察用語では、暴力団を「暴⃝（丸囲み暴）」と表すことがあります。
ギャル文字: 携帯電話などでは、㊤、㊦、㊧、㊨、㊥などの囲み文字が、ギャル文字として使われることもあります。

このように、囲み文字は、私たちの生活の様々な場面で、情報をわかりやすく伝えるために使われています。その種類も多種多様であり、それぞれの分野や用途によって、異なる意味や役割を持っています。

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