丸山教

丸山教

丸山教は、神道の影響を強く受けた日本の宗教団体で、教派[[神道]]の一派に分類されます。19世紀後半に、困窮した農民からの支持を集め、急速に教勢を拡大しました。

歴史

丸山教の起源は、1870年（明治3年）に武蔵国橘樹郡登戸（現在の神奈川県川崎市）の農民、伊藤六郎兵衛によって設立された「丸山講」に遡ります。1875年（明治8年）には、富士山を信仰する富士講の一つである「富士一山講」と合併し、「富士一山講丸山教会」として活動を開始しました。

その後、一山講が扶桑教として独立したことに伴い、丸山教会は扶桑教から離脱し、神道本局に所属、「神道丸山教会本院」と改称しました。明治10年代には、松方財政の影響で困窮した農民からの支持を背景に、静岡県、愛知県、長野県、神奈川県などを中心に隆盛しました。1880年（明治13年）には、多摩川の河原で8000人もの信者が集まる大祈祷会が開催され、1885年（明治18年）には扶桑教から独立、翌年には丸山教会本院を設置しました。当時の信者数は138万人にも達したと言われています。

しかし、1884年（明治17年）頃、「み組」という支部が、1885年（明治18年）に天地が壊れ、1886年（明治19年）に丸山教だけが救われるという終末予言を広めたことがきっかけで、納税拒否や小作関係解消が相次ぎ、「み組事件」として警察の弾圧を受けることになります。この事件は、教祖の関与によるものではありませんでしたが、丸山教には元々「世直し人助け」の観点から社会批判を行う思想があり、西欧化、近代化、軍備拡張を進める明治政府の政策と対立するようになり、政府からの大弾圧に繋がりました。1894年（明治27年）に教祖が死去すると、教勢は著しく衰退しました。

教団自体は、報徳社運動が唱える報徳思想に接近し、戦時中は活動を停止。第二次世界大戦の敗北後、1946年（昭和21年）に宗教法人法により、丸山教として独立しました。

歴代教主

初代教祖：伊藤六郎兵衛

1829年（文政12年）に、武蔵国橘樹郡登戸村（現在の神奈川県川崎市）で生まれました。幼名は米吉。14歳から24歳まで奉公した後、伊藤家の婿養子となり、六蔵と改名。後に家督を相続し、六郎兵衛を襲名しました。1873年（明治6年）に丸山講を創始し、丸山教の教祖となりました。1894年（明治27年）に66歳で死去。

二世教主：伊藤国義

1859年（安政6年）に生まれ、2歳の時に教祖夫妻の養子となりました。教祖の死去後、1894年（明治27年）に35歳で二世教主を継承しました。1908年（明治41年）に49歳で死去。

三世教主：伊藤六郎兵衛（伊藤平質）

1883年（明治16年）に二世教主の次男として生まれました。日本大学を卒業後、1908年（明治41年）に25歳で三世教主を継承しました。俳句や郷土史研究にも熱心で、詩人との交流も深かったです。1972年には川崎市文化賞を受賞。1974年（昭和49年）に90歳で死去。

四世教主：伊藤光海

1949年（昭和24年）に三世教主の長男として生まれました。13歳で副教主を襲名し、1974年（昭和49年）に24歳で四世教主を継承しました。

教勢

2016年（平成28年）の『宗教年鑑』によると、教会数は76、その他26、教師数は447、信者数は1万1035人です。

活動

丸山教は、創設当初は富士講の影響を受け、世直しや反近代化の思想が強かったものの、明治政府からの弾圧後は報徳社運動に沿った勤勉・倹約を中心とするようになりました。現代では平和主義を主張し、反核運動（原水爆禁止運動）にも参加しています。

その他

文化活動

三世教主の伊藤六郎兵衛（伊藤平質）は、俳句や郷土研究にも関わり、詩人の佐藤惣之助や北原白秋との親交がありました。教団本庁の境内には、佐藤の句碑や北原が作詞した「多摩川音頭」の詩碑が置かれています。

境内の施設

本庁境内には、樹齢120年程のフジの木「丸山の六尺藤」があり、クスノキとともに川崎市の「まちの樹50選」に指定されています。また、1925年（大正14年）には、人材養成を目的とした登戸静修校が開校しましたが、1944年（昭和19年）に閉校しました。1949年（昭和24年）には、丸山幼稚園が開園し、現在も運営されています。

所在地情報

本庁所在地

神奈川県川崎市多摩区登戸

アクセス

最寄り駅：小田急小田原線向ヶ丘遊園駅

脚注

注釈

出典

参考文献

大原デジタルライブラリー 「大原クロニカ」内記事
川崎市教育委員会 「文化財さんぽ」 「丸山教本庁」
江村栄一・中村政則・編『日本民衆の歴史』第6巻、三省堂、1974年。

関連サイト

宗教法人 丸山教
* 学校法人丸山学園 丸山幼稚園

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