丸沼 (群馬県)

丸沼：群馬県片品村の秘境の湖

群馬県利根郡片品村に位置する丸沼は、日光国立公園に属する美しい湖沼です。その歴史、自然環境、そしてアクセス方法など、丸沼の魅力を多角的にご紹介します。

成り立ちと変化

丸沼は、白根火山の噴火によって流れ出た溶岩が、大滝川の流れをせき止めることで誕生しました。かつては隣接する大尻沼と一体でしたが、発電のためのダム建設（1921年、上毛電力株式会社による丸沼ダム）によって水位が変動し、現在のような二つの湖に分離しました。ダム建設後、丸沼は面積を拡大し、形状も円形から南北に伸びる長方形へと変化しました。

自然環境

豊かな植生

丸沼の周囲は、ブナ、ミズナラなどの広葉樹をはじめ、アスナロ、シラビソ、オオシラビソといった針葉樹の森に覆われています。これらの多様な樹木が、湖沼の生態系を支える重要な役割を担っています。

豊富な水生生物

丸沼は栄養価の高い水質であるため、プランクトンや底生動物が豊富に生息しています。その結果、ヒメマス、ニジマス、ワカサギなどの魚類が自然繁殖しています。かつてはヤマメやイワナも生息していましたが、水位変動の激しさから個体数は減少傾向にあります。

水生昆虫の種類は比較的少なく、カゲロウ、カワゲラなど限られた種類が確認されています。プランクトンは、ツツサヤツナギなどの植物プランクトンや、オナガケンミジンコなどの動物プランクトンが確認されていますが、その個体数は1リットルあたり10個体程度と、決して多いとは言えません。底生生物は、イトミミズ、マメシジミなどが生息しています。

また、湖底からは温泉が湧出している場所もあり、独特の環境が形成されています。

水質

丸沼の水質は、表層でpH6.8、底層でpH6.0と、わずかに酸性寄りです。

歴史

1926年、丸沼は菅沼、大尻沼とともに農商務省水産講習所の養鱒試験場として指定されました。その後、北海道産のマスやアメリカ産の虹鱒の放流が行われ、現在見られる魚類相に影響を与えています。

1950年には、新日本観光地百選の湖沼部門で、同じ群馬県片品村にある菅沼とともに一位に選ばれました。この選定は、丸沼の景観美と観光資源としての価値を高く評価した結果です。

アクセス

電車とバス

JR沼田駅または上毛高原駅から関越交通バスに乗り換え、丸沼温泉環湖荘で下車します。沼田駅から約57分、上毛高原駅から約1時間24分です。

車

国道120号（金精道路）沿いに位置しています。関越自動車道沼田インターチェンジから約85分です。ただし、冬季（12月下旬～4月下旬）は、金精道路が通行止めとなるためご注意ください。

まとめ

丸沼は、その成り立ちから、周囲の自然環境、そしてそこに息づく生き物たちまで、実に魅力的な場所です。訪れる人に、自然の神秘と豊かな癒やしを提供してくれるでしょう。一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。

もう一度検索