乃美宗勝

乃美宗勝（のみ むねかつ）

乃美宗勝は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、小早川氏の家臣として活躍しました。安芸国（現在の広島県西部）の豪族である乃美氏の出身で、浦宗勝とも呼ばれます。その生涯は、数々の戦功に彩られており、毛利氏の勢力拡大に大きく貢献しました。

生涯

1527年、乃美賢勝の四男として生まれた宗勝は、幼少の頃から武術に励み、16歳で初陣を飾りました。その戦ぶりは目覚ましく、たちまち頭角を現しました。その後、小早川隆景に仕え、その右腕として、数々の戦で活躍します。

小早川隆景への仕官

宗勝は、小早川隆景の初陣となった備後神辺城攻めで、自ら多くの敵を討ち取る武功を上げました。この功績は毛利元就にも認められ、その後の活躍を後押しするきっかけとなりました。宗勝は、隆景の信頼に応え、水軍を率いて各地を転戦します。

厳島の戦いと防長経略

1555年の厳島の戦いでは、村上水軍を味方に引き入れるために奔走し、毛利軍の勝利に大きく貢献しました。この戦いで、宗勝は単なる武将ではなく、交渉力も兼ね備えた人物であることを示しました。
厳島の戦い後も、防長経略において小早川水軍の主力として活躍し、大内氏の残党を討伐しました。

九州・四国における戦い

毛利氏の九州進出に伴い、宗勝も門司城攻防戦などに参加。敵将との一騎打ちで勝利するなど、その武勇は九州の地でも知れ渡りました。その後も、四国攻めでは、来島村上氏の援軍要請に応じ、敵を打ち破るなど、各地で武功を重ねています。

備中常山城攻撃と鶴姫

1575年、備中常山城を攻撃した際には、城主の妻である鶴姫が侍女を率いて出陣するという出来事がありました。宗勝は、その勇猛さに感銘を受け、直接対決を避けて鶴姫を説得します。鶴姫は、宗勝に宝刀を託し自害しましたが、このエピソードは、宗勝の人間性を物語るものとして広く知られています。

織田氏との戦い

織田信長との対立が激化すると、宗勝は水軍を率いて、木津川口の戦いなどで活躍しました。第一次木津川口の戦いでは、織田水軍を打ち破り、石山本願寺への兵糧搬入を成功させましたが、第二次木津川口の戦いでは、九鬼水軍に敗北を喫しました。また、別所長治が籠城する三木城への兵糧搬入作戦を成功させるなど、補給路確保に貢献しました。

豊臣政権下

豊臣秀吉の時代になると、宗勝は小早川隆景と共に伊予国や筑前国の支配に携わりました。隆景の信頼は厚く、その相談役として、重きをなしました。
文禄の役では、朝鮮へ渡海しましたが、病に倒れ、帰国後の1592年に死去しました。享年66歳でした。

逸話

宗勝は、主君である小早川隆景からの信頼が非常に厚く、隆景自筆の手紙が残されています。また、合戦で武功を挙げたことを称えられ、毛利元就、毛利隆元、小早川隆景、豊臣秀吉の4人から感状を授与されています。このことから、宗勝の戦での活躍が如何に目覚ましかったかがわかります。

子孫

宗勝の直系の子孫は浦姓を、傍系の子孫は案浦姓を名乗ったと言われています。

肖像画

宗勝の菩提寺である勝運寺には、宗勝の肖像画が2幅所蔵されています。そのうちの1つは、甲冑を着用した姿を描いたもので、武将としての威厳を今に伝えています。

墓所

宗勝の墓所は、宗勝寺（福岡県福岡市）と勝運寺（広島県竹原市）にあります。宗勝寺は、宗勝が立花山城代を務めていた際に建立されたもので、勝運寺は、宗勝の本領である安芸国忠海に建立されたものです。

乃美宗勝は、戦国時代の激動を生き抜き、武将として数々の戦功を挙げただけでなく、主君からの信頼も厚かった人物でした。その生涯は、後世に語り継がれるべきものでしょう。

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