乃美賢勝

乃美賢勝：戦国時代の武将、その生涯と功績

乃美賢勝（のみ かたかつ）は、戦国時代の武将であり、竹原小早川氏の家臣として知られています。しかし、彼は単なる家臣に留まらず、独立した領主としての性格も有していました。乃美氏は、賢勝の父である乃美慶俊から受け継がれ、後に小早川隆景の重臣となる乃美宗勝や乃美元信らを輩出しています。

生涯

乃美賢勝は、竹原小早川氏の重臣である乃美慶俊の子として生まれたとされています。乃美氏の系図によれば、浦元安の養子となり浦氏を継承したものの、浦氏を名乗らず乃美氏を名乗り続けました。

永正4年（1507年）から始まった足利義尹（足利義稙）を奉じた大内義興の上洛に従い、永正8年（1511年）8月24日の船岡山合戦で戦功を挙げました。この功績により、同年9月13日に大内義興から感状と杉興宣の奉書を与えられています。

船岡山合戦の頃、賢勝は「小太郎」と称していました。天文5年（1536年）11月30日には、大内義隆から安芸国頭崎への出陣の労をねぎらう書状を受けた際、父・慶俊と同様に「備前守」を称していたことから、賢勝が家督を相続した時期は永正8年（1511年）から天文5年（1536年）の間と考えられています。家督相続後も、父・慶俊が奉行職や周防国山口における夫役負担を担う一方で、賢勝は大内氏が展開する各地での軍事行動に参加しました。

天文20年（1551年）の大寧寺の変で大内義隆が陶隆房（陶晴賢）に討たれると、天文22年（1553年）に陶晴賢が対立する石見国三本松城の吉見正頼を攻撃。賢勝は陶晴賢に従って出陣しましたが、同年11月13日に長門国野坂において吉見軍に敗れ、郎従である世良源左衛門尉が負傷しました。

天文23年（1554年）3月3日には長門国賀年城を攻め落とし、楊井若狭守を討ち取るも、賢勝自身も負傷。郎従や僕従も負傷しています。

同年3月から始まった三本松城の戦いにも参加し、同年7月3日の喜汁口における戦いで郎従が再び負傷。8月2日には賢勝自身も負傷しています。

これらの吉見氏攻めにおける一連の戦いについて、賢勝は同年9月20日に陶晴賢に軍忠状を提出。同年10月23日には大内義長から所領を与えられ、同年11月18日には晴賢から、より一層の戦功を挙げるよう促す書状を受け取っています。

しかし、天文23年（1554年）5月12日には安芸国の毛利元就が大内氏と断交し、乃美氏が属する小早川氏当主・小早川隆景も同年9月に大内氏に属する能美氏を打ち破りました。賢勝が陶晴賢に軍忠状を提出した時期には、既に小早川氏も陶晴賢と対立していたのです。毛利氏と大内氏の断交後も大内氏に味方した能美氏、多賀谷氏、呉衆といった海洋領主層は乃美氏と親密な関係にあり、賢勝に対し小早川隆景から離反して大内氏に味方するよう働きかけました。乃美氏は隆景の宿老的地位にある一方で、独立領主的な性格も有しており、陶晴賢への軍忠状提出からはこの時期の賢勝も動向に迷っていたことが窺えます。

最終的に乃美氏は毛利氏に味方し、天文24年（1555年）の厳島の戦いでは毛利方の水軍の中核を担い、勝利に貢献しました。しかし、この年以降、賢勝の動向は見られなくなり、大内氏からの離反に伴い、嫡男の宗勝が乃美氏の軍事的権限を掌握したと考えられています。

没年は不詳です。

乃美賢勝は、激動の戦国時代において、大内氏への従属から毛利氏への転向という大きな決断を下し、一族の存続と発展に貢献しました。彼の生涯は、戦国時代の武将の生き様を象徴するものと言えるでしょう。

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