久保田宵二

久保田宵二（くぼた しょうじ）は、1899年（明治32年）6月2日に生まれ、1947年（昭和22年）12月26日に没した、昭和期の作詞家です。水久保弘（みずくぼ ひろし）、砂原鹿郎（すなはら ろくろう）という別名・ペンネームも使用していました。

岡山県川上郡富家村（現在の高梁市）の出身で、幼名は嘉雄（よしお）。寺の長男として生まれました。岡山県師範学校を卒業後、教員養成課程で研鑽を積み、若くして小学校の教頭職に相当する主席訓導にまで昇進しました。小学校教諭として教鞭を執る傍ら、地元の青年たちの詩作指導を行い、雑誌「岡山青年」の詩部門選者も務めていました。

大正時代の終わり頃、詩人の野口雨情らに勧められ上京。1931年（昭和6年）にコロムビアレコードに入社しました。当初は童謡の作詞を手がけ、新民謡運動にも力を注いでいましたが、後に流行歌作家へと転身しました。コロムビアレコードの専属作詞家となってからは、「ほんとにそうなら」、「夕日は落ちて」、「赤城しぐれ」など、数々のヒット曲を生み出しました。1940年（昭和15年）にコロムビア社を退社。

作詞活動の傍ら、当時作曲家に比べて地位が低かった作詞家の地位向上にも尽力しました。大日本音楽[[著作権協会]]（現在のJASRAC）の常務理事・常任理事を引き受け、作詞家の著作権確立に生涯を捧げました。

1987年（昭和62年）5月4日、没後40年を記念して、かつて教諭を務めた旧布瀬小学校跡地（現・高梁市立備中保育園）に「久保田宵二童謡碑」が建立されました。この碑には、久保田宵二が作詞した童謡『昭和の子供』の歌詞と、彼の肖像レリーフがはめ込まれています。碑の設計・彫像は宮本隆氏、撰文は山本遺太郎氏、揮毫は高見俊一氏が担当しました。

代表曲

『富士山見たら』（昭和4年11月）［橋本国彦作曲、歌：四家文子］
童謡・『昭和の子供』（昭和6年）［佐々木すぐる作曲］
『浮草の唄』（昭和8年3月）［江口夜詩作曲、歌：ミス・コロムビア］
『ほんとにそうなら』（昭和8年5月）［古賀政男作曲、歌：赤坂小梅］
『旅がらす』（昭和8年5月）［古賀政男作曲、歌：中野忠晴］
『秋の銀座』（昭和8年9月）［江口夜詩作曲、歌：ミス・コロムビア］
『希望の首途』（昭和8年12月）［江口夜詩作曲、歌：松平晃］
童謡・『ひょうたんぽっくりこ』（昭和8年）［佐々木すぐる作曲］
『そんなお方があったなら』（昭和9年2月）［江口夜詩作曲、歌：赤坂小梅］
『綾乃の子守唄』（昭和9年12月）［田村しげる作曲、歌：東海林太郎］
『夕日は落ちて』（昭和10年9月）［江口夜詩作曲、歌：松平晃・豆千代］
『赤城しぐれ』（昭和12年1月）［竹岡信幸作曲、歌：霧島昇］
童謡・『山寺の和尚さん』（昭和12年5月）［服部良一作曲、歌：コロムビア・ナカノ・リズム・ボーイズ］
『潮来月夜』（昭和12年7月）［竹岡信幸作曲、歌：音丸］
『博多月夜』（昭和13年5月）［大村能章作曲、歌：音丸］

著書

『ねんねの小雀』（大正14年11月）東京・松陽堂
『詩集・郷土』（大正14年10月）岡山・青年社
『宵二童謡集』（昭和7年4月）東京・啓文社
『國民詩々集・ニッポン』（昭和16年11月）東京・新興音楽出版社
『林檎籠』（昭和21年5月）東京・新泉社

参考文献
* 『詩人 久保田宵二』（平成元年7月4日）岡山県備中町（当時）教育委員会内・久保田宵二顕彰会（非売品）

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