九一式五〇〇馬力発動機

九一式五〇〇馬力発動機の概要

九一式五〇〇馬力発動機（きゅういちしきごひゃくばりきはつどうき）は、1930年代に海軍広工廠が開発・製造した液冷式のW型レシプロエンジンです。このエンジンは、主に航空機に使用され、特にその後の航空技術の基盤となりました。九一式五〇〇馬力発動機と、その改良型となる九一式六〇〇馬力発動機の二種類で構成されています。

開発の背景

この発動機の開発は、実吉金郎技師を中心とするチームによって行われました。前作にあたる九〇式六〇〇馬力発動機を参考にしつつ、1931年に試作機が完成。2年後の1933年1月12日には、公式に九一式五〇〇馬力発動機として制式採用されました。当初、このエンジンは牽引式専用でしたが、後に九六式夜偵のために推進式への改造が行われました。その結果、牽引式のモデルは「九一式五〇〇馬力発動機一型」とし、推進式のモデルは「九一式五〇〇馬力発動機二型」と命名されました。さらに、二型には直結式発電機が装備されることとなり、このモデルは「二二型」と呼ばれるようになりました。

1933年12月13日には、過給機を装着したモデルが九一式六〇〇馬力発動機として採用され、初期型と改良型に分類されました。初期型はボールベアリングが前後に設けられた過給機を備えていましたが、のちに前方のみに配置される改良が行われました。これにより、初期型は「九一式六〇〇馬力発動機一型」、改良型は「九一式六〇〇馬力発動機二型」として区別されるようになりました。

主要諸元

具体的な仕様について、九一式五〇〇馬力発動機の技術的な詳細は以下の通りです：

• - タイプ：液冷W型12気筒
• - 筒径×行程：135 mm × 160 mm
• - 排気量：27.5 L
• - 燃料供給方式：気化器式
• - 離昇馬力：620 hp
• - 公称馬力：520 hp（高度1,000 mにおいて）

このエンジンは、主にいくつかの航空機に搭載されました。代表的な搭載機には、九〇式三号水上偵察機、九一式飛行艇、九二式艦上攻撃機、九四式水上偵察機、九六式水上偵察機、九八式水上偵察機などがあります。

関連技術

九一式五〇〇馬力発動機は、同時期に開発された他のエンジンや技術とも関連があります。特に、ネイピア ライオンやローレン12Eb、ファルマン12We、イソッタ・フラスキーニ アッソ750など、他メーカーのエンジンとも性能やデザインの面で比較されることがあります。

参考文献

この発動機に関する詳細は、汐書房が刊行した月刊「丸」1995年4月号（通巻588号）に記載されています。特に、メーカー別の日本陸海軍航空機総覧を通じて、さまざまな資料を参照することが可能です。

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