九龍バス

九龍バス（Kowloon Motor Bus）

九龍バス（Kowloon Motor Bus、KMB）は、香港を代表するバス会社の一つで、新鴻基地産グループに属しています。香港初のフランチャイズバス会社であり、最大の規模を誇り、約3900台のバスを保有しています。香港全土に広がる路線網で、市民の足として重要な役割を果たしています。

概要

九龍バスは、香港で最初に設立されたフランチャイズバス会社であり、現在では最大のバス会社として、香港全土に路線を展開しています。その路線網は、九龍半島、新界地区、香港島を網羅し、市民の日常生活に欠かせない公共交通機関となっています。

歴史

1921年、イギリス植民地時代の香港で、九龍自動車（KMBの前身）として事業を開始しました。当初はわずか9台のバスで2路線を運行していましたが、1967年に香港政庁から九龍と新界地区の路線バス独占運行権を取得し、「九龍汽車(1933)有限公司」として正式に設立されました。その後、1990年に現在の「九龍巴士(1933)有限公司」に社名を変更しました。

1972年には海底トンネルが開通し、運行区間は香港島にも拡大。現在では香港全域をカバーする路線網を形成しています。1997年には、新香港国際空港と東涌へのサービスを提供する子会社、龍運バスを設立しました。

過去には、いくつかの重大な事故も発生しています。2003年には葵涌発天水囲行きの2階建てバスが高速道路の高架橋から転落し、21人が死亡、20人が負傷する大惨事となりました。また、2016年や2018年、2019年、2021年にも複数のバス事故が発生し、多くの犠牲者が出ています。これらの事故は、香港のバス運行における安全対策の重要性を改めて示しました。

2012年には、香港のバス会社として初めて全ての車両を冷房付きバスに切り替えました。

路線

九龍バスは、2018年12月31日現在、九龍路線、新界路線、海底トンネル路線、競馬場路線、深夜路線、特別墓地路線を含む合計401路線を運行しています。空港及びランタオ島路線は、子会社の龍運バスが運営しています。

車両

九龍バスは、2階建てバスを中心に、アレクサンダー・デニス、ボルボ、MAN、ネオプラン、スカニアなど、ヨーロッパ製の車両を多数導入しています。1988年には香港で初めて冷房付きバスを導入しました。一方、非冷房車も2012年5月まで使用されていましたが、全車冷房化により、香港のバスは全て冷房車となりました。

中型バスとしては、三菱ふそう・エアロミディMKを多数導入していましたが、2012年までに全車引退しています。また、短期間ではありましたが、三菱ふそう・エアロスター（MP618）が1両のみ試験運行されたこともあります。

2021年1月31日現在、九龍バスは3,997台のバスを保有しており、世界最大級の民間路線バス会社の一つです。内訳は、2階建てバスが3,818台、1階建てバスが179台です。

車庫

九龍バスは、車両の割り当てと管理を効率化するため、バスを九龍と新界の4つの車庫に分けて管理しています。各車庫は異なるアルファベット（K、L、S、U）で区別され、バスの左前ガラスにステッカーが貼られています。各車庫の分類は以下の通りです。

K：九龍湾車庫（KBD-KB），将軍澳車庫（KBD-TKO）
L：荔枝角車庫（LCKD-LCK），青衣車庫（LCKD-TSYI）
S：沙田車庫（STD-ST），上水石湖墟車庫（STD-SHUI）
U：屯門車庫（TMD-TM），元朗車庫（TMD-UL）

また、屯門には屯門総合修理センターが設置され、主にバスの中間修理（年次検査）を行っています。その他、月輪街車庫、大埔車廠、天水囲車庫、屯門南車庫、火炭車庫など、多数の車庫およびガソリンスタンドを保有しています。

廃止された車庫

過去には、以下の車庫が廃止されています。

九龍バス観塘車庫：九龍湾車庫に置き換えられ、跡地には2つの商業ビルが建設されました。
九龍バス深水埗営盤街車庫：車庫の後ろに仙楽戯院があったため、「仙樂廠」と呼ばれていました。

関連項目

香港の交通
龍運バス
オクトパス（八達通）
The Pancakes - 九龍バスのコマーシャルソングを制作

外部リンク

* 公式サイト(中/英)

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