二宮俊実

二宮俊実

二宮俊実（にのみや としざね）は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将であり、吉川氏に仕え、その家臣として活躍しました。

生涯

俊実は安芸国の国人である吉川氏に仕え、数々の戦で武功を挙げました。天文20年（1551年）の大寧寺の変後、毛利元就が陶方に協力した際には、西条槌山城の攻略戦に出陣し、城の攻略に貢献しました。また、天文24年（1555年）の厳島の戦いでは、吉川軍の主力として奮戦し、危機に陥った小早川隆景を救援する活躍を見せました。さらに、敗走する陶軍を追撃し、陶軍の武将である三浦房清を討ち取るという大きな戦果を挙げました。

弘治4年/永禄元年（1558年）、毛利氏が石見国の本城常光を攻めた際には、吉川元春の指示を受け、山県春勝と共に決死隊を組織し、城将である刺賀長信・高畠遠言が籠城する山吹城への兵糧搬入を敢行しました。その後、忍原崩れで毛利氏は敗北を喫しましたが、体勢を立て直すと、常光を策略によって降伏させました。永禄5年（1562年）11月5日には、俊実は粟屋源三、森脇春方と協力し、常光を暗殺するという事件も起こしました。

その後も俊実は吉川氏の主力として各地を転戦し、その武勇を遺憾なく発揮しました。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦い後、毛利氏が敗北し、移封されると、吉川氏も岩国へ移封され、俊実もこれに従いました。慶長8年（1603年）、岩国にてその生涯を閉じました。

二宮俊実覚書

俊実は武勇に優れるだけでなく、思慮深い人物でもありました。岩国移封後、吉川氏の正当性を主張するために、主君である吉川広家から覚書の執筆を依頼されます。当時、俊実は80歳を超える高齢でしたが、最後の奉公として、記憶を辿りながら一冊の書を完成させました。これが『二宮俊実覚書』です。この覚書は、当時の状況を知る上で非常に貴重な資料とされ、毛利氏の歴史研究における重要な研究材料となっています。また、後世に執筆された『安西軍策』『陰徳記』『陰徳太平記』などの基本資料としても活用されています。

関連項目

棚守房顕（厳島神社神主。俊実同様、「房顕覚書」で厳島の戦いの詳細な記述を残している）
房顕覚書
* 森脇春方（俊実同様、晩年に覚書を執筆している）

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