二階堂行光

二階堂行光（にかいどう ゆきみつ）

二階堂行光は、平安時代後期から鎌倉時代初期にかけて活躍した御家人であり、鎌倉幕府の政所執事という要職を務めました。

生涯

長寛2年（1164年）に二階堂行政の子として生まれました。兄に行村がいます。

建保6年（1218年）、源実朝が右大臣に就任した際、『吾妻鏡』に政所始めの記事が見られます。そこには、北条義時に次ぐ立場で、政所の実務官僚の筆頭として「右京兆並びに当所執事信濃の守行光」の名が記されています。

源実朝の時代、行光は尼将軍・北条政子の側近として活躍しました。特に重要な役割を果たしたのは、源実朝が公暁によって暗殺された後の朝廷との交渉です。『吾妻鏡』承久元年（1219年）2月13日条には、政子の使者として上洛し、六條宮（雅成親王）または冷泉宮（頼仁親王）を関東将軍として迎えたいという政子の意向を伝える役割を担ったことが記されています。この時の様子は、慈円の『愚管抄』にも記録されています。

後鳥羽上皇は、鎌倉に皇子を迎えることを拒否しました。しかし、この時期の鎌倉政権の行政事務、および朝廷との外交関係の実務は、行光を中心に動いていたと考えられています。『吾妻鏡』のこの時期の記録の多くは、行光が筆録したか、あるいは彼が所持していた資料に基づいていると見られています。

承久元年（1219年)に亡くなりました。

行光の死後、政所執事の地位は甥である伊賀光宗が継ぎましたが、光宗は元仁元年（1224年）の伊賀氏事件で失脚し流罪となります。その後、行光の子である二階堂行盛が政所執事に就任し、以降、二階堂家がほぼ世襲するようになりました。

参考文献

五味文彦 『増補 吾妻鏡の方法―事実と神話にみる中世』（吉川弘文館、2000年）
細川重男 『鎌倉政権得宗専制論』（吉川弘文館、2000年）

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