二階堂行政

二階堂 行政

二階堂 行政（にかいどう ゆきまさ）は、平安時代の終わりから鎌倉時代の初めにかけて活躍した貴族であり、鎌倉幕府の文官として重要な役割を果たしました。彼は、十三人の合議制の一員であり、鎌倉幕府の政所令（別当）や代々政所執事を務めた二階堂氏の祖となります。二階堂という苗字は、建久3年（1192年）に設立された永福寺が由来で、行政自身がその近隣に邸宅を持っていたことに関連しています。

家系

行政の家系は藤原南家乙麻呂流工藤氏に由来し、父の工藤行遠（通称白尾三郎）は、母が源頼朝の外祖父にあたる熱田大宮司・藤原季範の妹であるため、彼は貴族の血筋を引いていました。家系図によれば、行政の系統に属する工藤維遠、維行がそれぞれ遠江守や駿河守を歴任し、四代は遠江に関連のある世襲的な地位をもっていました。ただし、元の記録は後代にまとめられたものであるため、その信憑性については流動的な面があります。行政の出生には、父・行遠が遠江国司を殺害した後、尾張に流されたことが関係していると考えられています。

行政は、建保7年（1219年）に鎌倉の承久の乱を避けて隠居するため、静岡県藤枝市の古代の地名葉梨に移りました。ここでは、彼が信仰していた毘沙門天を祀る大聖毘沙門尊天も建立され、地域の人々に親しまれています。また、葉梨からの地名を取り、愛称として「波梨入道」（はなしにゅうどう）を名乗ります。

鎌倉での経歴

二階堂行政が鎌倉で初めて名前を登場させたのは、『吾妻鏡』の元暦元年（1184年）8月24日で、この時は公文所の棟上げに関与していました。おそらく彼は、母方の系譜が熱田大宮司家であった縁を活かし、源頼朝に仕えることになったと考えられます。行政はこの2年後に、奥州合戦を報告する文書を作成し、平氏政権下の政治情勢に積極的に関与するようになります。

建久元年（1190年）には、頼朝の上洛に関する事項を担当し、その後も政所令として多岐にわたる業務に携わります。彼は、源頼朝の死後、源頼家を支える十三人の合議制のメンバーの一人となり、初期鎌倉政権の中で重要な実務官僚としての役割を果たしました。

その後、彼は民部大夫に叙任され、政所の業務を大江広元と共に執り行い、さらに広元の不在時にはその職務を代行する形で政所を統括しました。行政の業績やその記録は『吾妻鏡』にしっかりと残されており、彼が執事として名を挙げられるケースが多く記されています。

子孫

二階堂行政の子孫は二階堂氏を名乗ります。次男の二階堂行光は、信濃流の祖となり、政所執事を世襲的に務めることになります。行光は、源実朝が暗殺された後、義母である北条政子の使者として朝廷に赴く場面でも登場し、政治的な交渉に携わっています。

行政の嫡男である二階堂行村も著名で、和田合戦においてその名が記録されているなど、代々検非違使を世襲する重要な役割を果たしました。二階堂氏は、その業績からみても、鎌倉時代に多大な影響を及ぼす家系として長い間存続し、様々な記録や歴史書の編纂においても参照されてきました。

参考文献

• - 太田亮『姓氏家系大辞典』
• - 五味文彦『増補 吾妻鏡の方法―事実と神話にみる中世』
• - 細川重男『鎌倉政権得宗専制論』

このように、二階堂行政はその生涯を通じて日本の歴史において重要な役者であり続け、彼の子孫もまた影響を残し続けています。

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