于勁

于勁（う けい、生没年不詳）は、北魏時代に活躍した人物で、于皇后の父親として知られています。彼の生涯は、北魏の政治と密接に結びついており、彼の活動を通して当時の社会情勢を垣間見ることができます。

生い立ちと初期のキャリア

于勁は、于洛抜（于栗磾の子）の子として生まれました。彼の字は鍾葵（しょうき）といい、本貫は河南郡洛陽県にありました。幼少の頃から武略に優れていた彼は、その才能を活かして功績を重ね、沃野鎮将（くわやちんしょう）という要職に就きました。また、富昌県子の爵位を受け、征虜将軍（せいりょしょうぐん）の号も授けられています。

皇后の父として

于勁の人生における大きな転機は、501年（景明2年）に娘が宣武帝の皇后に立てられたことでした。この出来事により、于勁は一躍政界の中心に躍り出ることになります。彼は太原郡公（たいげんこう）に封じられ、その地位を確固たるものとしました。502年（景明3年）には、宣武帝が鄴（ぎょう）へ閲兵に出かける際、北海王元詳（ほっかいおうげんしょう）や尚書右僕射（しょうしょゆうぼくや）の高肇（こうちょう）らと共に洛陽の留守を預かるという重責を担いました。

軍事的な活躍

于勁は、政治的な手腕だけでなく、軍事的な才能も持ち合わせていました。506年（正始3年）には、征西将軍（せいせいしょうぐん）として秦隴（しんろう）で発生した反乱の鎮圧に派遣され、その能力を遺憾なく発揮しました。その後、征北将軍（せいほくしょうぐん）・定州刺史（ていしゅうしし）に任じられ、北魏の安定に貢献しました。

死後

于勁は、その生涯を閉じた後、司空（しくう）の位を追贈されました。彼の功績を称え、諡（おくりな）は恭荘公（きょうそうこう）とされました。

家族

于勁は、劉氏（章武郡君）という妻との間に、以下の子供たちをもうけました。

于暉（うき）：字は宣明。于皇后の同母弟。太原郡公の爵位を嗣ぎ、汾州刺史となった。子である于長孺が爾朱栄の娘を妻とし、侍中・河南尹に上った。尚書僕射・東南道行台を兼ねた。高歓と共に兗州で羊侃を討ったが、元顥が洛陽に入ると殺害された。
于略
于昌容：元瓚（済陰王元誕の弟）の妻
于皇后
于氏：京兆王元愉の王妃

評価

于勁は、北魏の外戚として権勢を振るいましたが、その一方で、軍事的な才能も持ち合わせており、北魏の安定に貢献しました。彼の生涯は、『魏書』や『北史』といった歴史書に記録されており、彼の業績は後世にまで伝えられています。

于勁の物語は、北魏という時代を理解する上で重要な要素の一つと言えるでしょう。彼の生涯を辿ることで、当時の政治情勢や社会構造、人々の生活様式などをより深く理解することができます。

参考資料
『魏書』巻83下 列伝第71下
* 『北史』巻23 列伝第11

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