高肇

高肇（こう ちょう）

高肇（生年不詳 - 515年）は、北魏時代の外戚であり、字は首文（しゅぶん）と称しました。彼は文昭皇太后・高照容（宣武帝の生母）の兄であり、また宣武帝の皇后である高英の叔父にあたります。彼の家柄は渤海郡蓨県（現在の中国河北省）に由来します。

生涯

高肇は高句麗出身の高颺の子として生まれました。500年（景明元年）には、平原郡公に封じられます。501年（景明2年）に咸陽王・元禧が反乱を企てた罪で処刑されると、元禧の財産の多くは高氏の手に渡りました。その後、高肇は尚書左僕射、領吏部、冀州大中正といった要職を歴任し、宣武帝のおばにあたる高平公主を妻に迎えると、尚書令に昇進しました。

高肇は権力を利用し、504年（正始元年）には北海王・元詳を反乱計画の疑いで陥れ、死に追いやりました。さらに、諸王の乱を防ぐという名目で宣武帝を説得し、多くの皇族を幽閉状態に置きました。507年（正始4年）に于皇后が急死した際には、高肇が関与しているのではないかという噂が流れました。508年（永平元年）には、皇子・元昌の死も高肇の指示による医療過誤が原因であるという疑惑が持ち上がりました。京兆王・元愉は高肇の専横を恐れて反乱を起こしましたが、高肇は彭城王・元勰が元愉の乱に加担していると誣告し、元勰を殺害させました。

このように、高肇が皇族や大臣を多く陥れたことは周知の事実であり、北魏の朝廷内外で広く憎まれていました。512年（延昌元年）には司徒に上り、514年（延昌3年）には大将軍・平蜀大都督として10万の兵を率いて西征しました。

515年（延昌4年）1月、宣武帝が崩御し、孝明帝が即位すると、高肇は洛陽に召還されました。しかし、2月には高陽王・元雍や于忠らが中心となり、高肇を排除する密謀が企てられました。高肇が入省しようとした際、壮士の邢豹や伊瓫生らによって暗殺されました。死後、霊太后によって営州刺史の位が贈られました。533年（永熙2年）には、使持節・侍中・都督中外諸軍事・太師・大丞相・太尉公・録尚書事・冀州刺史の位が追贈されました。

高肇の子である高植は、中書侍郎から済州刺史となり、元愉の乱鎮圧で功績を挙げました。その後、青州、相州、朔州、恒州の刺史を歴任し、各地で善政を敷いたことから良刺史として知られるようになりました。

伝記資料

『魏書』巻83下 列伝第71下
『北史』巻80 列伝第68

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