五十嵐隆

五十嵐隆：音楽への情熱と苦悩、そして再生

五十嵐隆（1973年6月1日生まれ）は、埼玉県出身のミュージシャンで、ロックバンドSyrup16gのボーカリストとして広く知られています。彼の音楽人生は、幼少期の洋楽との出会いから始まり、バンド活動、ソロプロジェクトを経て、Syrup16gの再始動へと繋がっています。

音楽との出会いと初期の活動

小学校時代、五十嵐はREOスピードワゴン、ホール&オーツ、ビリー・ジョエル、マイケル・ジャクソンなど、当時の洋楽に夢中になり、毎日数時間を音楽鑑賞に費やしました。高校時代には、アルバイトでギターを購入し、音楽への道を歩み始めます。しかし、学園祭後の飲酒が発覚し停学処分を受けたことがきっかけで、勉強への意欲を失ってしまいます。

大学浪人中に訪れたバリ島で、現地の民族音楽「ケチャ」に衝撃を受け、帰国後は引きこもり生活を送ります。その後、音楽専門学校に進学し、中畑大樹と出会います。レコーディング・エンジニアを目指すも、仕事として様々な音楽に対応しなければならないことに苦痛を感じ、その道を諦めます。そして、アルバイトをしながらバンド活動を始めたことが、Syrup16g結成へと繋がります。

Syrup16gの結成と解散

1996年、五十嵐はSyrup16gを結成し、ボーカルとしてバンドを牽引します。しかし、2008年に日本武道館でのライブを最後にバンドは解散。その後、五十嵐は「犬が吠える」という名義でソロプロジェクトを開始しますが、2009年に解散を発表します。この背景には、新メンバーとの立ち位置の悩みや、自身の音楽性の不明確さ、そして周囲が動く制作環境への不満があったと、後に語っています。

再生への道

「犬が吠える」解散後、事務所も退社し、4年間は再発盤の印税収入で生活を送ります。そして2013年、4年間の沈黙を破り、ライブ活動を再開。NHKホールでのワンマンライブ「生還」では、Syrup16g時代の楽曲やソロ時代の楽曲、そして新曲を披露しました。このライブには、元Syrup16gのメンバーである中畑大樹とキタダマキも参加し、大きな話題となりました。

音楽性と人物像

Syrup16g結成当初は、フリッパーズ・ギターやdipなどのコピーを演奏していました。好きなギタリストとして、BARBEE BOYS|BARBEE_BOYSのいまみちともたかや、ザ・スミスのジョニー・マーを挙げています。また、長渕剛などのフォークソングも好んで聴いていたようです。彼の心に残る名盤としては、ジェフ・バックリィの「グレイス」、アドラブルの「アゲインスト・パーフェクション」、プリンスの「パレード」、ブラッドサースティ・ブッチャーズの「ココロノ」などが挙げられます。

漫画好きとしても知られ、小林よしのりの『戦争論』や柏木ハルコの『花園メリーゴーランド』、押見修造の『血の轍』、新井英樹の作品などを愛読しています。また、鶴見済や宮台真司の著書を熱心に読んでいた時期もあったようです。

BUMP OF CHICKEN|BUMP_OF_CHICKEN、スピッツ、クリープハイプ、ART-SCHOOL、GRAPEVINE、NUMBER GIRL、Good Dog Happy Men、MO'SOME TONEBENDER、Bloodthirsty butchersといったバンドとも親交があり、レミオロメンの藤巻亮太は「他人に曲を書いてもらうならSyrup16gに」と熱望し、Mr.Childrenの桜井和寿も「Rebornという曲は良いね」と語っています。

大規模なアリーナライブを好まず、「武道館でライブする時は死ぬ」とまで語っていた五十嵐ですが、解散コンサートで初めて武道館の舞台に立ちました。使用するギターは、バンドデビューから2003年頃まではmoonのレゲエマスターが中心でしたが、その後はムスタング、リッケンバッカー、ギブソン・SG'61 リイシューなどを経て、現在はVAN ZANDT STV-70Rをメインに使用しています。再始動後は、曲によってテレキャスターやジャズマスターなども使い分けています。

ソロプロジェクト「犬が吠える」のバンド名は、草野マサムネに会った際に「いいバンド名だね、俺も日本語の名前にしたかったんだよな」と言われたことがきっかけで決めたと語っています。

作品

DVD『五十嵐隆「生還」 live at NHKホール 2013/05/08』（2014年6月）

外部リンク

元Syrup16g五十嵐隆がソロ始動 - ナタリー

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