五台山 (中国)

五台山（ごだいさん）

五台山は中華人民共和国、山西省の忻州市に位置する標高3058メートルの霊山であり、古くから仏教の信仰が集まる場所として知られています。この山は文殊菩薩の聖地であり、別名を清涼山とも称され、2009年にユネスコの世界遺産に登録されました。五台山のエリアは1982年には国家級風景名勝区、2007年には中国の5A級観光地として認定されています。

名称の由来

山名の「五台」は、山の形状が五つの台地に分かれていることに由来しています。五つの主要な峰は次の通りです。これらの峰はそれぞれに美しい風景を提供し、訪れる者を魅了し続けています。

• - 東台（望海峰）
• - 西台（掛月峰）
• - 南台（錦繍峰）
• - 北台（葉斗峰）
• - 中台（翠岩峰）

特に北台の葉斗峰は最高峰であり、絶景を楽しむことができます。

歴史的背景

山内には、北魏時代に建立された大浮図寺をはじめ、その後も多数の寺院が造られました。最盛期には300以上の寺院が存在し、その壮大さは他の仏教名山と肩を並べるほどです。五台山は観音菩薩の霊場である普陀山や、普賢菩薩の聖地峨眉山、地蔵菩薩の九華山と共に、中国四大仏教名山の一つとして不動の地位を確立しました。

現在では、39の寺院が台内に存在し、南山寺や顕通寺、塔院寺などが訪れる観光客を迎えています。また、台外には延慶寺や南禅寺など8つの寺院があり、合計で47の寺院が五台山を彩っています。

文化的な意味

日本の平安時代から鎌倉時代にかけて、多くの僧侶がこの地を訪れました。さらに、チベット仏教の教徒からも尊崇されており、菩薩頂と呼ばれる寺院には、ネパールやモンゴルの影響が見られます。このため、五台山は大乗仏教の中国漢族仏教とチベット仏教の共通の聖地として位置付けられています。

五台山はまた、その美しい自然景観と仏教文化の融合が特徴とされ、甘粛省や河北省、広東省などの他の地域、さらには韓国や日本にも同名の五台山が存在します。

世界遺産としての評価

五台山は2009年に行われた第33回世界遺産委員会で、文化的景観として世界遺産リストに登録されました。この時、複合遺産としての推薦も行われましたが、自然遺産としての評価は得られませんでした。登録された物件には、唐代に建立された佛光寺が含まれています。

五台山の登録基準は、文化的価値や歴史的重要性を示すものであり、建築様式や技術、景観デザインの発展において人類の価値の重要な交流を示しています。また、現存する文化的伝統や文明の証拠としても評価されています。

参考文献

• - 藤善真澄著『参天台五臺山記の研究』（関西大学、2006年）
• - エドウィン・O・ライシャワー著『円仁唐代中国への旅：『入唐求法巡礼行記』の研究』（講談社、1999年）
• - 鎌田茂雄著『中国四大霊山の旅：光の中の菩薩たち』（佼成出版社、1987年）

五台山は、仏教信仰の重要な地域であり、訪れる人々に深い感銘を与える場所です。

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