五姓田義松

五姓田義松 (ごせだ よしまつ)

五姓田義松は、安政2年（1855年）に生まれ、大正4年（1915年）に没した明治期の洋画家です。父は同じく洋画家の五姓田芳柳であり、義松は幼い頃から絵画に親しみました。

生涯

義松は、1865年にチャールズ・ワーグマンに師事し、本格的に洋画の道へ進みます。その後、1874年には川上冬崖の推薦で陸軍士官学校の図画教師として勤務しました。1876年には工部美術学校に入学し、アントニオ・フォンタネージに師事しますが、翌年には退学しています。

1877年、第1回内国勧業博覧会の洋画部門に「阿部川富士図」と「自画像」を出品し、洋画家として最高の賞である鳳紋賞を受賞しました。1878年からは明治天皇の御付画家として、北陸・東海地方の行幸に同行しています。

1880年には渡仏し、レオン・ボナに師事。サロン・ド・パリに日本人として初めて入選を果たし、国際的な評価を得ました。1889年にアメリカ合衆国を経由して帰国し、明治美術会の創立に携わるなど、日本の美術界の発展に貢献しました。また、日清戦争に従軍画家として参加しています。

1915年、横浜の自宅で60歳で死去。墓所は横浜市の日野公園墓地にあります。

作品の特徴と評価

五姓田義松の作品は、写実的な描写と卓越した技術が特徴です。初期にはワーグマンやフォンタネージの影響を受けた風景画や肖像画を多く制作しましたが、渡仏後はより自由な表現を追求し、独自の画風を確立しました。特に、光と影の表現に優れ、人物の内面を深く描き出す肖像画は高く評価されています。

義松は、日本の洋画黎明期において、西洋の画法を積極的に取り入れながらも、日本の伝統的な美意識を融合させた独自の表現を追求しました。その功績は、日本の近代美術史において重要な位置を占めています。

代表作品

阿部川富士図
自画像
他多数

参考文献

神奈川県立歴史博物館 編『平成27年度特別展 没後100年 五姓田義松 最後の天才』神奈川県立歴史博物館、2015年。
横田洋一 『リアリズムの見果てぬ夢 浮世絵・洋画・写真』 横田洋一論文集刊行会、2009年
角田拓朗 『五姓田義松史料集』 中央公論美術出版、2015年 ISBN 978-4-805-50744-5
角田拓朗 『絵師五姓田芳柳義松親子の夢追い物語』 三好企画、2015年 ISBN 978-4-908-28701-5

関連事項

高橋由一
* 二世五姓田芳柳

もう一度検索