井上勲 (歴史学者)

井上勲（いのうえ いさお、1940年12月5日 - 2016年11月14日）は、日本の著名な日本史学者であり、学習院大学の名誉教授を務めました。彼の専門は日本近代史であり、特に幕末期の政治史と政治思想史に関する深い知識と研究で知られています。

山口県に生まれた井上勲は、東京大学文学部国史学科で学び、卒業後、同大学の大学院に進学し、文学研究科で博士課程を修了しました。その後、東京大学の助手として研究生活をスタートさせ、1973年には学習院大学文学部史学科の助教授に就任しました。1989年には教授に昇格し、2011年に学習院大学を退任するまで教鞭を執り続け、名誉教授の称号を授与されました。2016年に逝去されました。

井上勲の研究は、日本近世史、特に幕末期の政治 dynamics に焦点を当てていました。彼は「一会桑政権」という用語を最初に提唱した研究者としても知られています。彼の主要な著書である『王政復古』は、幕末政治史研究において重要な論点を数多く提示し、その後の研究に大きな影響を与えました。

著作

井上勲は、数多くの著作を通じてその研究成果を発表しました。以下に主な著作を挙げます。

単著
王政復古

共編著
『明治百年の序幕』(大世界史 21) 芳賀徹共著、文藝春秋 1969
改題文庫化『明治維新と日本人』講談社学術文庫 1980
『近代日本政治思想史 1』橋川文三・松本三之介編、有斐閣 1971
『近代日本思想史』荒川幾男・生松敬三編、有斐閣双書 1973
『近代日本の二人の主役』(ライバル日本史 4) 笠原一男・鳥海靖編、評論社 1978
『別冊歴史読本　坂本龍馬の謎』新人物往来社 1985
『徳川の政治と社会』(江戸とは何か 2) 大口勇次郎編、至文堂 1985
『江戸の[幕末]]』(江戸とは何か 4) 勝部真長共編、[[至文堂] 1986
『近代・現代』(見る・読む・わかる日本の歴史 4) 編、朝日新聞社 1993
『歴史家の読書案内』石井進編、吉川弘文館 1998
『幕末学のみかた。』朝日新聞社 1998
『歴史遊学』学習院大学文学部史学科編、山川出版社 2001
『開国と幕末の動乱』(日本の時代史 20) 編、吉川弘文館 2004
『日本史の環境』(日本の時代史 29) 編、吉川弘文館 2004
『幕末・明治前期』(日記に読む近代日本 1) 編、吉川弘文館 2012

雑誌論文
井上1966「長州藩尊攘運動の思想と構造」『史学雑誌』75－3
井上1968「将軍空位時代の政治史：明治維新政治史研究」『史学雑誌』77－11
井上1972「大政奉還運動の形成過程（一）」『史学雑誌』88－11
井上1972「大政奉還運動の形成過程（二）」『史学雑誌』88－12
井上1973「激動期の政治リーダー：坂本龍馬と中岡慎太郎」『エコノミスト』51－42
井上1973「慶応三年十月の討幕派と討幕密勅」『学習院史学』10
井上1974「大政奉還運動の展開過程」『学習院大学文学部研究年報』20
井上1975「幕末・維新期における「公議輿論」観念の諸相：近代日本における公権力形成の前史としての試論」『思想』609
井上1978「坂本龍馬の可能性」『歴史と人物』80
井上1997「大老 井伊直弼」『学習院史学』35
井上1997「幕末政治社会の形成：嘉永六年七月の諮問と答申をめぐって」『学習院大学史料館紀要』9
井上1999「徳川斉昭、海防の幕政参与に就任：年表原稿についての断想」『日本歴史』616
井上2005「川路高子『上総日記』解題」『学習院大学史料館紀要』13

これらの著作は、幕末維新期の政治、思想、社会に関する彼の深い洞察と、詳細な研究を示しています。井上勲の学術的な貢献は、日本の近代史研究において重要な位置を占めており、彼の研究は今日でも多くの研究者によって参照されています。

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