井伊直定

井伊直定（いい なおさだ）は、元禄15年（1702年）に彦根藩主・井伊直興の十四男として生まれました。直興の多くの子が早世する中で、彼は最も長命でした。正徳3年（1713年）には従五位下因幡守に叙任され、彦根新田藩1万石を分知されました。

享保19年（1734年）には、異母兄である直惟の要請により養子となり、新田藩を本家に還付。翌享保20年（1735年）に直惟の隠居に伴い、正式に彦根藩主となりました。

直定は質素倹約を重んじ、奏者番としての職務を通して自ら規律を守り実践しました。江戸城へは握り飯の弁当を持参するほどでした。

病弱であったため隠居を決意しましたが、実子の直賢がまだ幼かったため、宝暦4年（1754年）に甥である直禔を養子に迎えました。しかし、直禔が急逝したため、他家からの養子が幕府に許可されず、同年8月29日に再勤することとなりました。

その後、宝暦5年（1755年）に直禔の弟である直幸を養子として再び隠居し、宝暦10年（1760年）に61歳で死去しました。法名は天祥院殿泰山定公大居士。遺骸は彦根の清涼寺に葬られています。

エピソード

ある時、直定は酔った家臣を望遠鏡で見つけ、傍にいた家臣にも見せましたが、誰もが告げ口を避けて酔った家臣の名を明かさず、景色の美しさを褒めるばかりでした。ただ一人、得意げに酔った家臣の名前を報告した者がいましたが、直定は後で「余の傍に置く人材ではないな」と不快感を示したとされています。彼は、自身の立身出世のために同僚を売るような行為を卑しんだのです。

系譜

父：井伊直興
母：堀部氏
養父：井伊直惟
正室：井伊直存の娘
室：京都の住人
長男：井伊直賢
室：宮崎氏
次男：井伊直峯
室：江戸の住人
女子：三条季晴室

参考文献
中村直勝（監修） 編『彦根市史』 上冊、彦根市役所、1960年3月25日

外部リンク
井伊直定 - コトバンク

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