井伊直惟

井伊直惟（いい なおのぶ）

井伊直惟は、江戸時代中期に近江彦根藩の第9代藩主を務めた人物です。井伊直弼の曾祖父にあたります。

生涯

元禄13年（1700年）に、第5代藩主・井伊直興の十三男として生まれました。幼名は金蔵。母は田山氏。直興は直惟の誕生後まもなく隠居しましたが、兄である直通と直恒が相次いで早世したため、再び藩主となりました。

正徳4年（1714年）、直惟が15歳になった際に、直興は再び隠居し、直惟が藩主となりました。藩主として質素倹約を推進し、武芸を奨励しました。また、領内を視察するために大規模な鷹狩りを好んで行ったとされています。文化人としても知られ、絵画や詩文を嗜み、寺社への寄進も積極的に行いました。近江永源寺の能舞台などは、その一例です。また、彦根城の石垣の改修も行いました。

第8代将軍・徳川吉宗の世子である徳川家重の加冠役を務めましたが、病弱であることを理由に一度は固辞しようとしたと伝えられています。自身も生来病弱であり、享保20年（1735年）に病気療養を理由に家督を弟の直定に譲り、江戸を去りました。元文元年（1736年）に37歳で死去しています。

人物

質素倹約を旨とし、藩政の立て直しに尽力しました。武芸を奨励する一方で、自らも文化に親しみ、多くの作品を残しています。寺社への寄進も積極的に行うなど、領民からの信頼も厚かったとされています。

経歴

元禄13年（1700年）：生まれる
正徳4年（1714年）：家督を相続し、藩主となる
享保20年（1735年）：隠居
元文元年（1736年）：死去

系譜

父：井伊直興
母：田山氏
正室：蜂須賀綱矩の娘
室：内藤氏
次男：井伊直禔
室：高橋氏
女子：阿部正允正室
女子：松平忠順正室
室：堀部氏
三男：井伊直幸
室：小西氏あるいは岡野氏
女子：印具咸重室
女子：木俣守融室
室：梅原氏

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