井戸寺

井戸寺（いどじ）

徳島県徳島市国府町井戸にある真言宗善通寺派の寺院で、瑠璃山、真福院と号します。四国八十八箇所第十七番札所であり、阿波西国三十三観音霊場（東部）の第三十三番札所でもあります。本尊は七仏薬師如来で、伝承によれば聖徳太子の作とされています。

歴史

寺伝によると、井戸寺は天武天皇の勅願により673年に創建され、「妙照寺」と名付けられました。当時は七堂伽藍を備え、末寺12坊を擁する壮大な寺院だったと伝えられています。本尊の七仏薬師如来に加え、日光菩薩と月光菩薩は行基の作とされています。

弘仁6年（815年）には空海（弘法大師）がこの地を訪れ、十一面観世音菩薩を刻んで安置しました。また、水不足に悩む人々を救うため、一夜にして井戸を掘り当て、それ以来、この地は井戸村と呼ばれるようになり、寺号も「井戸寺」に改められたと伝えられています。

その後、兵火による焼失と再建を繰り返し、慶長年間に徳島藩主蜂須賀氏によって再興されました。大正5年（1916年）に正式名称を井戸寺とし、昭和43年（1968年）には失火により本堂が焼失しましたが、3年後に再建されました。

境内

境内には、見どころが多く存在します。

大門（仁王門）：朱塗りの武家造りで、徳島藩主蜂須賀氏の大谷別邸から移築されたものです。
本堂：鉄筋コンクリート造りで、七体の薬師如来を拝むことができます。
大師堂：弘法大師像が安置されています。
日限大師堂：空海が井戸に映った自分の姿を彫ったとされる像を祀っており、日数を限定して日参すると願いが叶うと言われています。
面影の井戸：日限大師堂の中にあり、井戸に自分の姿が映れば無病息災、映らなければ不幸が訪れると言われています。
護摩堂（六角堂）：不動明王を中心に五体の夜叉明王が祀られ、毎月28日に護摩が焚かれます。
大悲殿：重要文化財の十一面観音立像と日光・月光菩薩が安置されています。阿波西国三十三観音霊場の札所でもあります。
大日堂：金剛界大日如来坐像が祀られています。
光明殿（位牌堂）：胎蔵大日如来坐像と阿弥陀如来坐像が安置されています。
鐘楼：時を告げる鐘があります。
納骨堂：瀬戸内寂聴の遺骨が納められています。

その他、境内には句碑や歌碑も点在しています。

文化財

重要文化財
木造十一面観音立像：平安時代初期の作で、榧の一木造り彩色。
徳島県指定有形文化財
日光・月光菩薩立像：十一面観音の脇仏。
真言宗小野流相承祖師像一幅：25人の祖師を描いた彩色画。

交通案内

鉄道：JR四国徳島線府中駅下車、徒歩約1.5km
バス：徳島バス竜王団地線「井戸寺口」下車、徒歩約0.3km
道路：県道30号線沿い
自動車道：徳島自動車道藍住ICから約6.3km、高松自動車道板野ICから約9.5km

周辺の番外霊場

法谷寺：峯の薬師と呼ばれ、空海が真言密教をひらいたとされる霊地。
蔵珠院：聖宝理源大師が開基。「まいまい井戸」がある。

井戸寺は、四国遍路の道中、歴史と文化に触れ、心を癒すことができる場所です。ぜひ一度、訪れてみてください。

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