京成電鉄のダイヤ改正

京成電鉄ダイヤ改正史: 1950年代から2023年までの変遷

本稿では、京成電鉄の鉄道線・軌道線におけるダイヤ改正の歴史を1950年代から2023年まで詳細に解説します。京成グループ各社（北総鉄道、新京成電鉄、芝山鉄道）や、都営地下鉄浅草線、京浜急行電鉄との相互直通運転開始、成田空港開業、そしてスカイライナー運行開始といった出来事が、ダイヤ改正にどう影響してきたのかを豊富な情報に基づいて紐解きます。廃止された千葉急行電鉄についても簡単に触れます。

主に1960年12月改正以降の記述を重点的に行い、改正日が不明な場合は「X」と表記します。また、情報が不足している場合や特筆すべき事項がない改正は割愛しています。なお、ダイヤ改正直前には「京成時刻表」が発売され、ダイヤ改正だけでなく、ダイヤ修正や運賃改正の情報も掲載されています。

1950年代

1953年5月28日改正: 上野公園駅を京成上野駅に改称。開運号の車両を1600形に変更。
1955年9月1日改正: 京成上野～京成成田間の普通列車の一部を準急（一部通勤準急）に変更。これにより、準急列車が大幅に増発されました。準急は4本から5本、通勤準急は18本から56本に増加しました。
1956年3月20日改正: 八千代台駅開業に伴う改正。

1960年代

1960年12月1日改正: 都営浅草線への乗り入れ開始に伴う大規模な改正。押上駅の地下化と都営浅草線への乗り入れ（浅草橋～東中山間）開始により、浅草橋～押上、浅草橋～青砥、浅草橋～東中山間の列車が昼間は6分間隔で運行されるようになりました。浅草駅の工事遅延により、当初予定より運行開始が遅れるトラブルもありました。
1963年2月28日改正: 都営浅草線の人形町～東銀座間開業に伴う改正。京成佐倉～押上間に通勤準急4本を設定。
1963年11月22日改正: 都営浅草線東銀座～新橋間開業に伴う改正。24両の新造車両投入による輸送力増強。快速列車を廃止し、急行と準急を増発。通勤準急を1本増発し、5本体制となりました。停車駅にも変更がありました。
1964年10月1日改正: 3200形の運用本格開始。都営浅草線新橋～大門間開業に伴い、京成佐倉～大門間で通勤準急の直通運転を開始。これは日本の地下鉄路線への優等列車直通運転の最初の実例となりました。
1965年12月1日改正: 通勤急行の都営浅草線乗り入れ開始（京成佐倉～大門間）、大手私鉄で実質初となる優等列車2本続行ダイヤの実施、普通列車の速度をA速度とB速度に分離といった3つの大きな変更がありました。2本続行ダイヤは、当時の設備制約（待避駅の不足、ホーム有効長の制限）を解消するための措置でした。
1966年11月1日改正: 通勤急行を京成成田駅からの直通に変更。京成本線の多くの区間が都営浅草線との直通区間となりました。
1968年: 成田山御開帳1030年を記念し、この年には3回のダイヤ改正が行われました。これは同社において2010年と並ぶ最多改正数です。主な内容は勝田台駅開業、千葉線への急行設定、京成初の6連運転開始、通勤特急の新設などです。

1970年代

1971年10月25日改正: 沿線の開発による混雑に対応するため、朝ラッシュ時のダイヤを改良。通勤急行と通勤特急の待避を解消し、八千代台～東中山間を平行ダイヤ化。区間運転特急（八千代台～東中山間）も設定されました。
1972年10月15日改正: 京成上野駅改良工事により、6連車両は日暮里駅折り返しとなる。
1972年12月18日改正: 青砥駅高架化工事開始に伴い、青砥駅折り返しを廃止し、京成高砂駅に変更。
1973年6月16日改正: 通勤特急の勝田台駅停車開始。京成上野駅改良工事のため、京成上野発着列車を日暮里発着に変更。
1973年12月16日改正: 京成上野駅改良工事一部完成により、全列車が京成上野駅発着に。スカイライナー運行開始。
1974年12月16日改正: 6年ぶりの大幅改正。列車種別を8種別から4種別（スカイライナー、特急、急行、普通）に整理統合し、停車駅も変更。成田空港開港を見据えたダイヤへの準備も含まれていました。
1975年12月21日改正: 京成上野駅改良工事完成。4線化。
1978年5月21日改正: 成田空港への延伸開業に伴い、スカイライナーの本格運行開始。多くの特急列車も成田空港まで延長されました。
1979年3月1日改正: 特急の一部に8連運転開始。スカイライナーの一部が成田駅停車に。

1980年代

1981年10月1日改正: 京急からの乗り入れを高砂まで延長。京成線に普通列車6連運転開始。
1982年11月1日修正: 京成線にユーカリが丘駅開業。
1983年10月1日修正: スカイライナーの日暮里駅停車開始（京成上野行きのみ）。都営車による急行運転開始。
1984年12月1日改正: スカイライナーの一部をイブニングライナーとして運転開始。
1985年10月19日改正: スカイライナーの運転間隔変更（30分間隔から40分間隔）。モーニングライナー運転開始。通勤特急運行開始。八千代台～東中山間の区間運転特急廃止。

1990年代

1991年3月19日改正: 成田空港新駅完成によるアクセス向上。スカイライナー増発、特急停車駅削減。北総線との相互直通運転開始。3700形の本格運用開始。幕張本郷駅開業。
1992年4月1日改正: 千葉急行電鉄（現・京成千原線）との相互直通運転開始。宗吾参道駅付近の新ルート切り替え。空港第2ビル駅開業。
1993年4月1日改正: 京急線羽田駅開業に伴う改正。京急車による北総線への乗り入れ開始。
1994年4月1日改正: 京成本線に公津の杜駅開業。土休日ダイヤ導入。
1995年4月1日改正: 北総線・千葉急行電鉄路線延長。京急快速特急の最高速度120km/h運転開始。京成車両の三崎口駅乗り入れ廃止。
1996年7月20日改正: 東葉高速鉄道開業に対応した改正。朝ラッシュ時のスピードアップ、ダイヤパターンの見直しなど。
1997年10月4日改正: 京急ダイヤ改正に伴う一部列車の変更。
1998年11月18日改正: 京急空港線羽田空港駅延伸開業に伴う改正。エアポート快速特急・エアポート特急運転開始。
1999年7月31日修正: 京急電鉄白紙ダイヤ改正に伴う変更。エアポート快特・快特への格上げ。

2000年代

2000年7月22日改正: 北総線路線延長に伴う改正。京成車両の乗り入れ廃止。羽田空港行き増便。
2001年9月15日改正: 八広駅待避線完成に伴う改正。朝ラッシュ時の押上線増発。昼間・夕方ラッシュ時のダイヤ変更。
2002年10月12日改正: 芝山鉄道線開業に伴う改正。列車種別の見直し（通勤特急、快速新設）。
2003年7月19日修正: スカイライナーの成田駅停車開始。昼間の快速列車の格上げ。
2004年10月30日改正: 羽田空港第2ターミナル供用開始に伴う改正。夜間エアポート快特設定。
2006年12月10日改正: 新京成電鉄千葉線乗り入れ開始。快特設定。京急蒲田駅連続立体交差事業に伴う修正。
2007年12月2日修正: 京急蒲田駅連続立体交差事業に伴う修正。
2009年2月14日改正: 土休日の千葉線新京成直通列車増発。京急・北総線ダイヤ改正に伴う修正。

2010年代

2010年: 京急蒲田駅工事、成田スカイアクセス線開業、羽田空港国際化に伴い、合計4回のダイヤ改正を実施。主な内容は成田スカイアクセス線開業、スカイライナーのAE形車両への変更、アクセス特急設定、駅ナンバリング導入など。
2011年: 東日本大震災による節電ダイヤ実施。
2012年10月21日改正: 京急蒲田駅高架化完成に伴う改正。成田・羽田空港アクセスの強化。
2013年10月26日変更: 成田空港夜間LCC到着便対応。通勤・通学時間帯の利便性向上。
2014年11月8日改正: 成田・羽田空港アクセスの強化。スカイライナー増発、シティライナー平日運転中止。
2015年12月5日改正: 成田空港夜間LCC到着便対応。モーニング・イブニングライナー全席指定制。京急車による京成本線運用復活。
2016年11月19日改正: 成田空港LCC早朝便対応、千葉線・千原線増強。
2017年10月28日改正: スカイライナー運転間隔統一。南行最終アクセス特急の時刻繰り下げ。
2018年12月8日改正: スカイライナーの発車時刻変更。普通列車輸送力増強。
2019年10月26日改正: スカイライナー増発・運行時間帯拡大。本線速達性向上。「快速特急」設定。京急車による京成佐倉～京成成田間運用復活。

2020年代

2021年3月27日改正: 本線の一部区間で最終列車の時刻繰り上げ、始発列車の時刻繰り下げ。
2022年2月26日改正: スカイライナーの青砥駅停車列車増発。深夜時間帯ダイヤ変更。一般列車ダイヤ見直し。
2022年11月26日改正: スカイライナーの新鎌ヶ谷駅停車開始。一部路線でのワンマン運転開始。
2023年11月25日改正: 22時台の上りスカイライナー増発。成田空港発最終列車の種別変更。
2024年11月23日改正: 夜間の上りスカイライナー増発。下りスカイライナー青砥・新鎌ヶ谷停車列車増加。平日ダイヤの早朝列車統合。

参考文献: 嵐山桂「京成電車 ダイヤの変遷」、石川修「輸送と運転 近年の動向」、京成電鉄株式会社総務部社史編集室編『京成電鉄85年の歩み』、藤井浩二「京成の列車ダイヤに取り組んだ日々」、鉄道ピクトリアル、鉄道ファン、東京都交通局「都営地下鉄1号ダイヤ」など。

もう一度検索