京王電気軌道150形電車

京王電気軌道150形電車

京王電気軌道150形電車は、現在の京王電鉄京王線にあたる路線を運営していた京王電気軌道が、1929年（昭和4年）から1930年（昭和5年）にかけて製造した電車です。

登場の背景

大正天皇の崩御後、御陵線が開業し、参拝客輸送の需要が高まりました。また、国鉄中央本線の電化に対抗する必要がありました。そこで、京王電気軌道は定員制急行列車用の新型車両として150形を投入しました。

車両の概要

150形は雨宮製作所で製造され、最終的な組み立ては桜上水工場で行われました。定員制急行列車に使用するため、京王電軌としては唯一のクロスシート車両として製造されましたが、1938年にロングシートに改造されました。その後、京王線でクロスシートが復活するのは、2017年に登場した2代目5000系まで待つことになります。

車体

車体は14m級の半鋼製で、明かり取り窓と水雷形通風器を交互に配した二重構造の屋根が特徴です。110形と類似していますが、150形は客用ドア上にも明かり取り窓とベンチレーターがあります。また、リベットの数が減少しています。

客室は2扉式で、ドア付近はロングシート、その他は固定クロスシートという配置でした。当時は道路上に軌道が敷設された併用軌道区間があったため、歩行者巻き込み事故防止用の救助網や、路面区間用低床ホームに対応した可動ステップが装備されていました。

主要機器

主電動機は、京王線中型車共通のTDK-31Nを搭載していました。制御器はHL電空単位スイッチ式手動加速制御器を搭載し、制御電源は架線からの600V電源をドロップ抵抗で降圧して使用していました。ブレーキは、連結運転のために非常弁付き直通ブレーキ (SME) を搭載していました。台車は汽車会社製、雨宮製作所製、川崎車輛製の釣り合い梁式台車を使用していました。集電装置は、三菱電機製S-514菱形パンタグラフを1基搭載していました。

沿革

1933年に全車4個モーターに増強されました。1938年にオールロングシート化され、1940年には車体中央に扉を設けて3扉化されました。1943年には一部車両の運転台が撤去され、片運転台化されました。1944年に京王電軌が大東急に併合された際、デハ2150形に改番されました。

戦災復旧

空襲で被災した車両は、鋼板張り一重屋根、2段窓化などの応急復旧工事が施されました。

長編成化と「スモールマルティー」化

東急・京王分離後、ブレーキシステムをAMM自動空気ブレーキへ変更、制御連動式ドアエンジンを設置するなどの3両編成対応工事が施工されました。その後、一部車両は2000系・2010系の付随車である「スモールマルティー」に改造されました。

終焉

昇圧工事の対象外となった本形式は、1960年代に廃車されました。(t) 化改造された車両も、1960年代中に廃車されました。廃車後、サハ2581は桜上水工場で会議室として利用されましたが、後に解体されました。現存する車両はありません。

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