京福電気鉄道丸岡線

丸岡線：福井の地に消えたローカル線

かつて福井県坂井市を走っていた丸岡線は、京福電気鉄道が運営していた鉄道路線です。本丸岡駅から西長田駅（現在の西長田ゆりの里駅）までの7.6kmを結び、地域住民の足として親しまれていましたが、1968年（昭和43年）7月10日に全線廃止という運命を辿りました。本稿では、丸岡線の歴史と、その廃止に至った背景、そして現在に残る痕跡について掘り下げていきます。

開業から廃止まで：激動の53年間

丸岡線の起源は、丸岡鉄道による路線計画に遡ります。当初は福井市まで延伸する壮大な計画でしたが、九頭竜川の架橋費用問題により、計画は縮小。北陸本線（現・ハピラインふくい線）丸岡駅への接続に変更され、1915年（大正4年）、本丸岡駅 - 上新庄駅間が開通しました。

当初は762mm軌間の軽便鉄道でしたが、1930年（昭和5年）には1067mmへの改軌と電化が実施され、近代的な鉄道へと生まれ変わりました。同年には、上新庄駅を廃止し、国鉄丸岡駅への乗り入れを開始。さらに、1931年（昭和6年）には西長田駅まで延伸、三国芦原電鉄（後の三国芦原線）との接続を果たし、路線網は拡大しました。

1944年（昭和19年）、丸岡鉄道は京福電気鉄道に吸収合併され、同社の路線となりました。しかし、1948年（昭和23年）に発生した福井地震による甚大な被害と、その復旧に伴う多額の債務、そしてモータリゼーションの進展による乗客減少という三重苦に見舞われます。

これらの要因が重なり、経営は悪化の一途を辿りました。1963年（昭和38年）には、北陸本線の電化工事への協力として跨線橋のかさ上げ工事を担当。この時、京福電気鉄道は丸岡線の廃止を検討しますが、地元からの強い反対により、その時は廃止は免れました。しかし、状況は改善せず、ついに1968年、丸岡線は全線廃止となりました。最終電車は西長田駅発の22時40分発の電車でした。

廃止後の丸岡線：残された痕跡

廃止後、本丸岡駅は丸岡バスターミナルとなり、地域交通の要衝として新たな役割を担っています。しかし、丸岡線の歴史は完全に消え去ったわけではありません。現在も、線路跡や橋脚などの遺構が沿線各地に残されており、往時の面影を偲ばせる存在となっています。例えば、坂井町福島には、北陸本線丸岡駅との立体交差の跡である橋脚が残っています。これらの遺構は、丸岡線の歴史と、その地域社会における役割を物語る、貴重な存在と言えるでしょう。

まとめ：地域社会とローカル線の歩み

丸岡線の歴史は、ローカル線の盛衰と、それを取り巻く地域社会の変化を象徴的に示しています。発展と衰退、そして時代の変化の中で、その存在は消え去っても、丸岡線が地域社会に刻んだ足跡は、現在もなお、様々な形で語り継がれています。廃線跡を訪れ、当時の面影を想像してみるのも良いかもしれません。

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