今井田駅

今井田駅とは

今井田駅（いまいだえき）は、かつて広島県広島市安佐北区可部町今井田に位置していた、西日本旅客鉄道（JR西日本）可部線の鉄道路線駅です。しかし、可部線の一部区間である可部駅から三段峡駅までの非電化区間が廃止されることになり、これに伴って2003年（平成15年）12月1日に駅としての役目を終え、廃駅となりました。

沿革

今井田駅の歴史は、1956年（昭和31年）11月19日に、国鉄可部線の仮乗降場として開設されたことに始まります。そのわずか約1ヶ月後の同年12月20日には、仮乗降場から正式な「今井田駅」へと昇格し、旅客駅として営業を開始しました。開業当初から駅員は配置されず、気動車による旅客輸送のみを取り扱う無人駅としての形態をとっていました。当時の所在地は、まだ広島市に編入される前の広島県安佐郡可部町今井田でした。

1972年（昭和47年）9月1日には、国鉄による特定都区市内制度が広島市に導入されましたが、この時、今井田駅は当初「広島市内」の駅としては扱われませんでした。しかし、翌年の1973年（昭和48年）5月1日には、改めて特定都区市内制度における「広島市内」の駅として組み込まれることになりました。

1987年（昭和62年）4月1日、国鉄の分割民営化に伴い、今井田駅は西日本旅客鉄道（JR西日本）へ引き継がれました。その後、可部線の非電化区間の廃止が決定され、2003年（平成15年）12月1日をもって、今井田駅も他の区間廃止駅と共に、その歴史に幕を閉じることとなりました。

駅の構造

今井田駅は、地上に設置された単式ホームが1面1線のみという非常に簡素な構造でした。駅舎はなく、無人の設備で運営されており、線路の南側に設けられたホームの上に小さな待合所が備えられているだけでした。

利用状況について

今井田駅の利用状況を示すデータは、主に広島市が発行する統計書や勢要覧に依拠しています。これらの資料に記載されている一日平均の乗車人員は、年間総利用者数を算出し、これをその年の日数（うるう年は366日）で割った上で、さらに乗車と降車を合わせて計上していることから2で割るという方法で算出されています（小数点第二位を四捨五入し、小数点第一位までの値としている）

駅周辺の様子

駅の北側には広島県道宇津可部線が走り、南側には中国地方を代表する河川、太田川が悠然と流れています。駅のすぐ東手には、鮮やかな赤色の吊橋である筒瀬橋が架かり、そのすぐ下流には広島県道今井田緑井線の一部である安佐北大橋があります。これらの橋を利用して、太田川の対岸、広島市安佐北区安佐町筒瀬地区へと渡ることができました。駅周辺には、広島交通の「今井田」停留所も設置されており、バス路線も利用可能でした。

現在の状況

廃止から長い年月が経過し、今井田駅の敷地も変化しています。かつて利用客を迎えた待合所は閉鎖され、駅としての役割を終えたことを示すように、設置されていた駅名標も既に撤去されています。

特記事項

今井田駅は、1980年代に人気を博したアイドル、河合その子が1986年に発表したシングル『青いスタスィオン』（作詞：秋元康、作曲・編曲：後藤次利）のミュージックビデオ（PV）撮影場所として使用されたことでも知られています。また、同年には、テレビ新広島で放送された彼女のコンサートツアー「風船旅行」の告知CMでも、当駅で撮影された映像が使用されていました。

隣の駅（廃止時点）

西日本旅客鉄道（JR西日本）可部線

河戸駅 - 今井田駅 - 安芸亀山駅

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