今村安

今村安（いまむら やすし）

今村安は、1892年（明治25年）に山梨県甲府市で生まれ、1966年（昭和41年）に74歳で亡くなった日本の陸軍軍人、そして馬術家です。陸軍士官学校を卒業後、騎兵将校としてキャリアをスタートさせ、陸軍[[騎兵学校]]では教官として後進の指導にあたりました。

馬術家としての才能開花

今村は、陸軍[[騎兵学校]]教官時代に、西竹一など多くの騎兵を育成しました。また、1929年（昭和4年）にはイタリアに留学し、ピネロロ騎兵学校で最新の馬術理論を学びました。特に、イタリアの自然馬術に感銘を受け、その理論を自身の馬術に取り入れました。留学中には、愛馬「ソンネボーイ」とともに欧州各地の馬術競技会に出場し、トリノで行われたヨランダ王女杯で日本人として初の優勝を飾るという快挙を成し遂げました。

ロサンゼルスオリンピックへの挑戦

1932年（昭和7年）には、ロサンゼルスオリンピックに日本代表として出場しました。本命馬のソンネボーイと共に障害飛越競技に挑みましたが、残念ながら途中棄権という結果に終わりました。しかし、このオリンピックで、今村の教え子である西竹一が金メダルを獲得しており、日本の馬術界にとって大きな転換期となりました。

軍人としての活動

ロサンゼルスオリンピック後、今村は軍人としての活動に重点を置くようになり、旭川や善通寺の騎兵連隊で勤務しました。その後、満州に派遣され、日中戦争、太平洋戦争にも従軍しました。太平洋戦争中にはフィリピンに派遣され、マニラ防衛司令官を兼任しました。

戦後の馬術指導

終戦後、今村は馬術の世界に戻り、関西を中心に馬術指導者として活動しました。木下芳雄に招聘され、京都府宇治市に開厩した金鈴会で教官を務め、多くの馬術家を育成しました。また、日本[[馬術連盟]]の再建にも尽力し、後進の指導に情熱を注ぎました。今村が指導した学生の中には、国民体育大会や全日本障害馬術大会で活躍する選手もいました。

今村の功績

今村安は、日本の馬術界に大きな足跡を残した人物です。ヨーロッパの馬術理論を日本に紹介し、日本の馬術の発展に貢献しました。また、多くの馬術家を育成し、日本の馬術のレベル向上に尽力しました。彼の情熱と功績は、今日の日本の馬術界にも受け継がれています。

略歴

1892年（明治25年）1月30日：山梨県甲府市にて出生。
1913年（大正2年）5月26日：陸軍士官学校卒業（25期）。
1913年（大正2年）12月25日：騎兵少尉に任官、近衛騎兵連隊附。
1915年（大正4年）8月：騎兵中尉に昇進。
1920年（大正9年）：『障害飛越ノ研究』発表。
1920年（大正9年）8月：騎兵大尉に昇進、軍馬補充部七戸支部部員。
1921年（大正10年）3月：遊佐忠四郎の長女・里んと結婚。
1922年（大正11年）3月14日：長女・民子誕生。
1923年（大正12年）8月：陸軍[[騎兵学校]]教官に就任。
1924年（大正13年）4月8日：長男・一郎誕生。
1927年（昭和2年）3月：馬術教本『馬術』出版。
1929年（昭和4年）4月：イタリアのピネロロ騎兵学校に留学。
1930年（昭和5年）：騎兵少佐に昇進。愛馬「ソンネボーイ」と共に欧州各地の馬術競技会に出場、トリノで日本人初の優勝。
1931年（昭和6年）7月：日本に帰国。
1931年（昭和6年）8月：陸軍[[騎兵学校]]教官に復帰。
1932年（昭和7年）8月14日：ロサンゼルスオリンピック障害飛越競技で失権。
1933年（昭和8年）8月：第7騎兵連隊附に異動。
1934年（昭和9年）8月：陸軍[[騎兵学校]]教官に復帰。
1935年（昭和10年）8月：騎兵中佐に昇進、騎兵第11連隊附に異動。
1937年（昭和12年）7月：関東軍軍馬補充部附に異動。
1940年（昭和15年）7月：騎兵第4連隊附に異動。
1940年（昭和15年）8月：騎兵大佐に昇進。
1942年（昭和17年）7月：捜索第4連隊連隊長兼マニラ防衛司令官に就任。
1943年（昭和18年）10月：スマトラに派遣。
1945年（昭和20年）3月：仏印に派遣、明号作戦に参加。
1945年（昭和20年）8月14日：タイ・ラムパーンにて終戦。
1946年（昭和21年）6月：復員、仙台に居住。
1948年（昭和23年）：金鈴会教官に就任。
1948年（昭和23年）10月：ヘルシンキオリンピック馬術競技候補人馬審査員を務める。
1952年（昭和27年）：金鈴会を退職、兵庫県地方競馬協会嘱託に就任。
1953年（昭和28年）：大阪愛馬会教官に就任。
1954年（昭和29年）5月：メルボルンオリンピック馬術競技候補馬審査で「ナホア」に騎乗。
1959年（昭和34年）6月4日：ローマオリンピック障害飛越競技候補人馬審査員を務める。
1959年（昭和34年）8月：日本[[馬術連盟]]主催の総合[[馬術]]講習会で講師を務める。
1966年（昭和41年）6月：大阪愛馬会を退職。
1966年（昭和41年）10月23日：宮城県泉市南光台の自宅にて死去。

参考文献

今村安『今村馬術』恒星社厚生閣、1988年。
大野芳『オリンポスの使徒：「バロン西」伝説はなぜ生まれたか』文藝春秋、1984年。

関連人物

西竹一（弟子）
遊佐幸平（師）

外部リンク

* 今村安 - Olympedia（英語）

もう一度検索