仏法紹隆寺

仏法紹隆寺について

仏法紹隆寺（ぶっぽうしょうりゅうじ）は、長野県諏訪市にある高野山真言宗の寺院です。山号を鼈澤荘厳山（べったくそうごんさん）、院号を大虚空蔵院（だいこくぞういん）と称し、通称は仏法寺として知られています。

歴史

寺伝によると、806年に坂上田村麻呂が神宮寺（廃仏毀釈で廃寺）と共に開基し、当初は慈眼寺と称して諏訪大社上社の別当寺でした。弘法大師空海がこの地を訪れた際、神宮寺を真言宗流布の寺、慈眼寺を真言宗の学問道場として整備し、「信州四ヶ寺道場随一」としました。その後、1352年に俊海法師が中興し、寺地を移転。1560年に尊朝法師の代に現在地に移り、「仏法紹隆寺」と改称しました。江戸時代には諏訪高島藩の祈願寺としての役割を担いました。大正時代には大火で多くの堂宇を焼失しましたが、本堂、庫裡、開山堂は再建され、1989年には智映堂が建立されました。

概要

本尊は秘仏である金剛界大日如来で、第二本尊として薬師如来が祀られています。この寺は、平安時代から戦国時代にかけての由緒ある法具、文書、経典が現存する古刹として知られています。京都の醍醐寺理性院の厳助が記した『信州下向記』には、1533年に飯田の文永寺で行われた伝法、結縁の灌頂で、「法具を諏訪の仏法寺から」と記されており、その歴史の深さが伺えます。

旧甲州街道から坂を上ると、かつての神宮寺の正門であった山門が現れます。境内には、樹齢500年以上と推定される大銀杏があり、諏訪市の文化財に指定されています。本堂正面には聖天堂、不動堂、庫裡が配置され、本堂裏手には池泉回遊式庭園が広がります。庭園の奥には、1975年に高野山東京別院から移築された普賢堂があります。この普賢堂は1673年に建てられた宝形造の建物で、擬宝珠高欄回廊や一間向拝を備えています。堂内には、旧神宮寺普賢堂の本尊であった普賢菩薩（諏訪市文化財）が祀られています。この普賢菩薩は、1293年に諏訪神党の知久敦幸が諏訪明神の本地仏として寄進したものです。また、旧神宮寺如法院の本尊であった普賢菩薩騎象像（長野県宝）も移設されています。

1882年に建立された成田堂には、成田山新勝寺の分尊が勧請されています。その他、鎌倉時代から室町時代にかけて約250年をかけて完成した写経大般若経600巻、永禄年間以降の古写経13点、鎌倉時代の不動明王立像（長野県宝）、十六善神画などの貴重な文化財が所蔵されています。

交通アクセス

JR中央本線上諏訪駅から諏訪バス「四賀出張所前」下車後、徒歩約10分で到着します。

参考文献

『信州の文化シリーズ 寺と神社』1981年 信濃毎日新聞社
『探訪 信州の古寺 天台宗・真言宗』1996年 郷土出版社

外部リンク

鼈澤荘厳山 大虚空蔵院 佛法紹隆寺
諏訪神仏プロジェクト - 諏訪信仰と神仏習合と神仏分離の歴史のプロジェクト

関連項目

* 諏訪市の寺院

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