仙台坂

仙台坂について

仙台坂は、東京都内に2つ存在する坂道です。いずれも江戸時代に仙台藩、伊達家の屋敷が近隣にあったことに由来します。

仙台坂（麻布）

麻布の仙台坂は、港区南麻布一丁目と元麻布一丁目の間、二の橋から西へ上る坂です。現在の東京都道415号高輪麻布線、二の橋交差点から西に入った仙台坂下交差点から、南麻布一丁目に沿って上り、麻布十番三丁目と元麻布一丁目を経て仙台坂上交差点に至ります。

坂の名称は、かつて坂の南側に仙台藩伊達家の屋敷があったことに由来します。坂下のあたりはもともと「仙台原」と呼ばれており、1899年に結成された日本初のラグビーチーム、慶應義塾のラグビーフットボールクラブが、結成当時この仙台原を練習場として使用していました。

川崎造船所初代社長の松方幸次郎は、自身のコレクション（後の松方コレクション）を展示するために、仙台坂に「共楽美術館」の建設用地を確保していました。しかし、計画は実現せず、松方コレクションの多くは現在、上野の国立西洋美術館に収蔵されています。

現状は片側1車線の対面通行の道路で、仙台坂上は麻布一帯の台地の南端に位置し、各方面に通じるため自動車の交通量が多いです。明治時代以降、「仙台坂」が住所地名となったことはありませんが、付近のマンション名などに「仙台坂」の名が使われることがあります。また、仙台坂の中腹には駐日韓国大使館があります。

ラジオ番組『サントリー・サタデー・ウェイティング・バー』（TOKYO FM）では、麻布の仙台坂上にあるとされる架空のレストランを舞台に番組が進行します。仙台坂の近隣には、同じく奥州の南部藩中屋敷に因む「南部坂」もあります。

仙台坂（品川）

品川区の「旧仙台坂」は、現在「くらやみ坂」と呼ばれており、海晏寺（南品川五丁目）と泊船寺（東大井四丁目）の間にある坂（下は仙台坂トンネル）を指します。交通量の増加に伴い、現在は池上通りが仙台坂と呼ばれるようになっています。

池上通りの青物横丁交差点から仙台坂上交差点までが「仙台坂」、東京都道420号鮫洲大山線の南品川三丁目交差点から仙台坂上交差点までが「旧仙台坂（くらやみ坂）」と呼ばれています。

旧仙台坂は国道15号南品川交差点から大井町方面へ上る坂で、坂上で現在の仙台坂（池上通り）に合流します。坂の左右中程から上（東大井四丁目・南品川五丁目）に仙台藩伊達陸奥守の屋敷がありました。

仙台坂上には、屋敷の味噌蔵を起源とする「仙台味噌醸造所」が昔ながらに残っており、現在も営業しています。坂の中程には屋敷跡の印として「タブノキ」も残されており、江戸時代の面影を偲ばせます。坂は町田学園前、池上通りを南に上り、坂上には仙台坂巡査派出所があります。

仙台坂は、麻布と品川、それぞれに異なる歴史と風景を持つ坂道です。その名が示す通り、江戸時代の仙台藩との繋がりを今に伝える貴重な場所と言えるでしょう。

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