仙石久治 (因幡守)

仙石久治の生涯と背景

仙石久治（せんごく ひさはる）は、江戸時代中期から後期にかけての旗本寄合席の一人です。彼は延宝3年（1675年）に誕生し、寛保2年（1742年）に亡くなりました。久治の通称は才次郎、右近、兵庫であり、官位は従五位下の因幡守です。彼の家族背景は、父が仙石久信、母が安部信盛の娘というものであり、この家系は江戸幕府の一翼を担うものでした。

家族構成と地位

久治は、父の死後に家督を相続し、4700石の知行を受け継ぎました。弟の久豊には300石を分配しましたが、彼が後に叔父の養子となることによってその300石は幕府に収公されています。久治の家庭は男性の後継者を巡る争いが絶えず、彼自身も実子の兵三郎が早世したため、跡継ぎが不在という状況に直面しました。

職務と活動

久治は、貞享3年（1686年）、徳川綱吉に初御目見えを果たし、1699年には小姓並としての任命を受けましたが、20日後に退職しています。さらに、宝永7年（1710年）には定火消に就任し、以後彼の名はこの役職を通じて広く知られることとなります。「鉄砲隊　御茶の水」という名で記載された部分からも、彼が火消しの要職にあったことがうかがえます。

定火消の役務においては、他の藩との衝突などもあって大変な状況に置かれることがありました。特に、加賀藩の前田綱紀との消口争いが発生した際には、町奉行の大岡忠相によって厳重注意を受ける事態にまで発展しています。

社会的立場と評価

享保4年（1719年）には小姓組番頭に任じられ、従五位下因幡守の叙任を受け、さらに享保8年（1723年）には書院番頭に異動しています。彼の社会的地位は確立されていくものの、その一方で「身ノ程ヲ弁ヘヌ武骨一辺ノ愚物」というような批評も受けており、他の大名や幕府関係者からは辛辣な意見が多くありました。

家族の紛争と後継者問題

久治の家族は、後継者問題を巡って特に混乱が見られ、実子がいないまま60歳を越えるころには大きな問題に直面します。この状況下、養子を迎え入れようとし、仙石久道の娘を養女にし、また、安部信厚の子である久住を婿養子として聟入りさせ、最終的には久住に跡を継がせることとなりました。このように、久治は家の存続を巡ってさまざまな策を講じました。

結末と評判

寛保2年（1742年）、久治は亡くなり、享年68歳でした。彼の法名は自休とされ、その生涯は波乱に満ちたものでした。定火消として知られる一方で、大名との争いに巻き込まれたり、後継者問題で家中が乱れたりする等、否定的な評価も多く、歴史の中でその名がどう伝わっていくかは複雑な様相を見せています。彼の生涯は江戸時代の旗本の一側面を反映し、家族の絆と権力の悩ましい関係を浮き彫りにしています。

もう一度検索