伊勢貞衡

伊勢貞衡について

伊勢貞衡（いせ さだひら）は、江戸時代初期に活躍した旗本です。その生涯は、豊臣家から徳川家へと仕え、多岐にわたる役割を担った激動の時代を反映しています。

生い立ちと豊臣家への仕官

貞衡は、初め豊臣秀頼に仕えていました。しかし、大坂の陣で大坂城が落城すると、その後の彼の人生は大きく転換します。

二条城での勤務と徳川家への仕官

大坂城落城後、千姫の招きにより二条城に移り住みます。その後、徳川家康が二条城を訪れた際に拝謁し、京都武者小路に宅地を与えられました。この出来事が、彼が徳川家に仕えるきっかけとなりました。

寛永14年（1637年）3月28日、従母である春日局の推薦により、徳川家光に仕えることになり、旗本寄合席に列せられました。これにより、彼は正式に徳川幕府の一員としての地位を確立しました。

儀式担当としての活躍

寛永16年（1639年）9月21日、家光の長女・千代姫が徳川光友に嫁いだ際には、その儀式を担当しました。このことからも、彼が幕府において重要な役割を担っていたことがわかります。また、貞享2年（1685年）3月9日には、徳川綱吉の長女・鶴姫が徳川綱教に嫁いだ際にも儀式を担当し、時服と黄金を賜りました。これらの出来事は、彼が儀式に関する知識や経験が豊富であったことを示しています。

家伝書籍の書写と献上

貞衡は、仰せにより、騎射三物（犬追物・笠懸・流鏑馬）などに関する家伝の書籍118巻を、息子の貞守や弟子と共に書写し、それを幕府に献上しました。このことは、彼が単なる武士としてだけでなく、文化的な側面においても貢献していたことを示しています。

致仕と晩年

元禄元年（1688年）12月9日に致仕し、その翌年の元禄2年（1689年）11月7日に85歳で亡くなりました。彼の生涯は、激動の時代を生き抜いた武士の姿を今に伝えています。

伊勢流との関連

伊勢貞衡は、武家故実の流派である伊勢流と深い関わりがありました。彼が書写した家伝の書籍は、伊勢流の騎射三物の技術を伝える貴重な資料であり、その歴史を語る上で欠かせないものです。

まとめ

伊勢貞衡は、豊臣家から徳川家へと仕え、儀式担当や家伝書籍の書写など、多岐にわたる役割を担いました。彼の生涯は、江戸時代初期の社会や文化を知る上で重要な手がかりとなります。また、彼が残した功績は、後世に語り継がれるべき価値があると言えるでしょう。

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