伊号第三潜水艦

伊号第三潜水艦

伊号第三潜水艦（いごうだいさんせんすいかん）は、大日本帝国海軍の潜水艦であり、伊一型潜水艦（巡潜1型）の3番艦です。1923年に建造が開始され、1926年に竣工しました。太平洋戦争では、主に哨戒任務や輸送作戦に従事し、1942年12月に戦没しました。

艦歴

1921年（大正10年）4月25日：第七十六潜水艦と命名
1922年（大正11年）2月10日：海軍大型七十四型2番艦に定められる
1922年6月15日：艦型名が伊号型巡潜型に改正
1923年（大正12年）11月1日：川崎造船所にて起工
1924年（大正13年）11月1日：等級を1等に、艦型名が巡潜型にそれぞれ改正、艦名を伊号第三潜水艦に改名
1925年（大正14年）6月8日：進水
1926年（大正15年）11月30日：竣工。横須賀鎮守府籍となり、第二艦隊第7潜水隊に編入
1927年（昭和2年）1月15日：第7潜水隊は第一艦隊隷下となる
1927年7月1日：第7潜水隊は横須賀防備隊隷下となる
1928年（昭和3年）7月12日：因島付近で座礁、損傷
1928年12月1日：第7潜水隊は第二艦隊第2潜水戦隊隷下となる
1930年（昭和5年）8月1日：横須賀鎮守府部隊第8潜水隊を編成
1930年12月1日：第8潜水隊は第一艦隊第1潜水戦隊隷下となる
1932年（昭和7年）12月1日：第8潜水隊は横須賀鎮守府部隊隷下となる
1933年（昭和8年）12月1日：第8潜水隊は第一艦隊第1潜水戦隊隷下となる
1934年（昭和9年）9月25日：艦型名が巡潜一型に改正
1935年（昭和10年）1月10日：ドイツ海軍駐在武官パウル・ヴェネッカーの視察が予定されていたが、悪天候のため中止
1935年11月15日：第8潜水隊は横須賀鎮守府部隊隷下となる
1935年11月15日～1936年12月1日：艦橋改修、Kチューブ取り付けなどの近代化改装
1936年（昭和11年）12月1日：第8潜水隊は第一艦隊第1潜水戦隊隷下となる
1937年（昭和12年）5月18日：宿毛湾で爆発事故発生、乗員に死傷者
1937年8月21日：長江河口沿岸で作戦行動
1938年（昭和13年）6月1日：艦型名が伊一型に改正
1939年（昭和14年）11月15日：第8潜水隊は横須賀鎮守府部隊隷下となる
1940年（昭和15年）11月15日：第7潜水隊に転出。第六艦隊第2潜水戦隊を編成
1941年（昭和16年）11月16日：横須賀を出港
1941年12月1日：オアフ島沖合に到達。真珠湾攻撃ではカウアイ海峡で哨戒任務
1941年12月31日：カウアイ島ナウィリウィリ港を砲撃
1942年（昭和17年）1月1日：米機動部隊を発見するも、攻撃機会を逸す
1942年1月9日：米空母レキシントンの捜索に参加
1942年1月22日：クェゼリンに到着
1942年1月24日：クェゼリンを出港
1942年2月1日：横須賀に帰投
1942年2月12日：横須賀を出港
1942年2月16日：パラオに到着、燃料補給
1942年2月17日：パラオを出港
1942年2月22日：スターリング湾に寄港
1942年2月23日：バンダ海で敵潜水艦を発見するも、攻撃機会を逸す
1942年3月1日：中型商船を雷撃撃沈と報告するも、連合軍側に該当船なし
1942年3月3日：ニュージーランド貨物船トンガリロから砲撃を受け、潜航退避
1942年3月3日：ニュージーランド貨客船ナルバダを攻撃するも、反撃を受け潜航退避
1942年3月6日：米潜S-40を発見し砲撃準備を行うも回避される
1942年3月14日：ペナンに到着
1942年3月28日：ペナンを出港、インド洋へ
1942年4月3日：コロンボ沖に到達、偵察と気象通報に従事
1942年4月7日：英貨物船エルムデールを撃破
1942年4月8日：英貨物船フルタラを撃沈
1942年4月9日：コロンボ南西沖へ移動
1942年4月15日：シンガポールに到着
1942年4月21日：シンガポールを出港
1942年5月1日：横須賀に到着
1942年6月11日：アリューシャン攻略作戦の支援のため横須賀を出港
1942年8月1日：横須賀に帰投
1942年8月20日：第2潜水戦隊の解隊に伴い、第7潜水隊は第六艦隊付属となる
1942年9月8日：横須賀を出港
1942年9月15日：トラック島に到着
1942年9月17日：トラック島を出港
1942年9月26日：ショートランドに到着
1942年9月27日：ガダルカナル島への輸送作戦を実施
1942年10月初め：ニュージョージア島への輸送作戦に従事
1942年10月10日：敵巡洋艦を発見し通報
1942年11月3日：トラック島に到着
1942年11月19日：食料と薬を搭載しトラック島を出港
1942年11月22日：ラバウルに到着
1942年11月24日：ショートランドに移動
1942年11月26日：ショートランドを出港
1942年11月28日：カミンボに到着、輸送物資と大発を降ろした後出港
1942年11月30日：ショートランドに到着
1942年12月1日：輸送物資を積んでショートランドを出港
1942年12月3日：カミンボ付近で米魚雷艇に発見され退避
1942年12月5日：ショートランドに到着
1942年12月7日：輸送のためショートランドを出港
1942年12月9日：カミンボ沖でアメリカ軍魚雷艇の攻撃を受け沈没、乗員戦死
1943年（昭和18年）1月20日：除籍

戦歴

太平洋戦争開戦時には、第六艦隊第2潜水戦隊第7潜水隊に所属し、真珠湾攻撃ではカウアイ海峡での哨戒任務に従事しました。その後は、インド洋での通商破壊作戦、ガダルカナル島への輸送作戦などに従事しました。1942年12月9日、カミンボ沖で輸送作戦中にアメリカ海軍の魚雷艇PT-59とPT-44の攻撃を受け沈没しました。この時、艦長の戸上一郎中佐以下乗員90名が戦死しました。

撃沈・撃破記録

撃沈：1隻（5,051トン）
撃破：1隻（4,872トン）

歴代艦長

荻野仲一郎 少佐：1926年5月1日 - 1928年1月15日
関野明 少佐：1928年1月15日 - 1928年12月15日
道野清 少佐：1928年12月15日 - 1929年6月1日
原田覚 少佐：1929年6月1日 - 1932年12月1日
石崎昇 中佐：1932年12月1日 - 1933年11月15日
魚住治策 中佐：1933年11月15日 - 1934年11月1日
松村翠 少佐：1934年11月1日 - 1935年10月21日
久米幾次 少佐（兼）：1935年10月21日 - 1935年11月15日
永井宏明 少佐（兼）：1935年11月15日 - 1936年1月6日
小林一 少佐（兼）：1936年1月6日 - 1936年3月26日
遠藤敬勇 少佐：1936年3月26日 - 1936年11月2日
小林一 少佐（兼）：1936年11月2日 - 12月1日
松尾義保 少佐：1936年12月1日 - 1937年12月1日
石川信雄 少佐：1937年12月1日 - 1938年11月15日
小林一 中佐：1938年11月15日 - 1939年4月24日
井浦祥二郎 少佐：1939年4月24日 - 1939年11月20日
藤井明義 中佐（兼）：1939年11月20日 - 1940年7月26日
木梨鷹一 少佐：1940年7月26日 - 1940年11月5日
殿塚謹三 中佐：1940年11月5日 - 1942年5月20日
戸上一郎 中佐：1942年5月20日 - 1942年12月9日（戦死）

参考文献

雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』光人社、1990年。ISBN 4-7698-0462-8
福井静夫『写真日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年。ISBN 4-584-17054-1
* 外山操『艦長たちの軍艦史』光人社、2005年。ISBN 4-7698-1246-9

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