伊号第四十一潜水艦

伊号第四十一潜水艦

伊号第四十一潜水艦（伊41）は、日本海軍が建造した潜水艦であり、伊四十型潜水艦（巡潜乙型改一）の2番艦として位置づけられています。しかし、艦艇類別等級別表においては伊十五型[[潜水艦]]の22番艦ともされています。

概要

1941年（昭和16年）のマル急計画に基づき、呉海軍工廠で1942年3月18日に起工、同年11月10日に進水しました。1943年6月18日には、吉松田守少佐が艤装員長に任命され、同年9月18日に竣工、吉松少佐が初代艦長に就任しました。竣工後は横須賀鎮守府籍となり、第一艦隊第11潜水戦隊に編入され、訓練に従事しました。その後、第六艦隊に移籍。

12月15日には、板倉光馬少佐が艦長に就任。板倉艦長は「不死身」と称され、数々の逸話を残しました。

輸送任務と武勲

1943年12月29日、「伊41」は横須賀を出港し、トラック島へ向かいました。トラック島では後部14cm砲と魚雷11本を陸揚げし、輸送物資を搭載しました。その後、ラバウルへ向かう途中で、哨戒中のB-24に発見されますが、板倉艦長の機転により、敵機を味方と誤認させ回避に成功しました。

ラバウルでは輸送物資を積んでスルミへ向かい、陸軍兵士を収容。ブーゲンビル島ブインへの輸送任務では、座礁の危険を冒して機雷原を通過するなど、困難な状況下での輸送を成功させました。ブインへの輸送作戦では米軍の哨戒が厳しく、予定を遅らせる場面もありましたが、無事に物資を輸送しました。また、坂田義人大佐ら98名の輸送任務も遂行しました。

1944年3月には、ラバウル北方で米潜水艦からの雷撃を回避。その後、トラック島へ輸送任務をこなし、横須賀へ帰還しました。呉では、水陸両用戦車「特四式内火艇」を使った特攻作戦の支援準備を行いましたが、同艇の完成度が低く作戦は中止となりました。

あ号作戦と最期

1944年5月、「伊41」はアドミラルティ諸島方面に進出。6月にはあ号作戦に参加し、グアム島南方沖で潜航待機。グアム島に残された搭乗員106名を救出する任務を遂行し、大分へ輸送しました。

8月5日、近藤文武少佐が艦長に就任。10月には捷一号作戦に参加し、フィリピン東方海域に進出。11月3日には、サンベルナルジノ海峡で米機動部隊を発見し、魚雷攻撃で米軽巡洋艦「リノ」を撃破しました。この戦果により「伊41」は特別感状を授与されました。

しかし、11月12日を最後に消息不明となり、アメリカ側の記録によると、11月18日にフィリピン海で米護衛空母「アンツィオ」の艦載機に発見され、護衛駆逐艦の攻撃により撃沈されました。艦長の近藤文武少佐以下、全乗員が戦死しました。沈没地点は、サマール島東方沖合、北緯12度44分 東経130度42分です。

12月2日、フィリピン方面にて沈没が認定され、1945年3月10日に除籍されました。撃破総数は1隻、撃破トン数は8,600トンです。

艦歴

1942年3月18日: 呉海軍工廠で起工
1943年9月18日: 竣工、訓練に従事
1943年12月29日: 横須賀出港
1944年1月14日: トラック出港
1944年1月19日: ラバウル入港
1944年1月25日: スルミへ物資輸送、陸軍兵8名収容
1944年1月31日: ラバウル出港、陸軍将校3名便乗
1944年2月3日: ブイン着、物資輸送
1944年2月20日: 二度目のブイン輸送を成功
1944年3月15日: ラバウル近海にて潜水艦に雷撃されるも回避
1944年3月25日: トラック入港
1944年4月7日: 三度目のブイン輸送、73名収容
1944年5月12日: ニューギニア周辺海域の索敵任務
1944年6月15日: あ号作戦発動。散開線に向かい、潜航待機
1944年6月22日: グアム島残留搭乗員の救出命令
1944年6月24日: グアム島アプラ港沖着、106名収容
1944年6月30日: 大分着
1944年10月19日: 捷一号作戦により呉を出港
1944年11月3日: 米軽巡洋艦「リノ」に損傷を与える
1944年11月18日: 米軍により撃沈

歴代艦長

艤装員長: 吉松田守 少佐（1943年6月28日 - ）
艦長: 吉松田守 少佐（1943年9月18日 - ）
艦長: 板倉光馬 少佐（1943年12月15日 - ）
艦長: 近藤文武 少佐（1944年8月5日 - 戦死）

参考文献

板倉光馬『あゝ伊号潜水艦』（光人社NF文庫、1993年）
『写真太平洋戦争 第8巻』（光人社NF文庫、1995年）
雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』光人社、1990年
外山操『艦長たちの軍艦史』光人社、2005年
福井静夫『写真日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年
『海軍人事手帳（？）』

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