伊東市民病院

静岡県伊東市に位置する伊東市民病院は、伊東市がその設置主体となり、公益社団法人地域医療振興協会が指定管理者として運営を受託する公設民営の医療機関です。地域における基幹病院の一つとして、多様な医療ニーズに対応しており、エイズ治療拠点病院や静岡県災害拠点病院など、数多くの公的な指定を受けています。

沿革

病院の歴史は、2001年 3月1日に始まります。伊東市は、前身である国立東静病院と統合された国立伊東温泉病院の施設および事業の一部を国から移譲され、これを伊東市民病院として開設しました。設立当初から、運営は公益社団法人地域医療振興協会へ委託される方式が採用されています。開設後間もない2002年には、将来的な移転を見据え、旧伊東スタジアムの跡地を新たな病院建設予定地として取得しました。同年には小児科の常勤医師が2人体制となり、地域における小児医療体制の強化が図られました。

医師の育成機関としても機能しており、2004年 4月1日には臨床研修病院の指定を受け、若手医師の指導に取り組んでいます。医療サービスの質の向上と安全性の確保にも努めており、2008年 11月17日には日本医療機能評価機構による病院機能評価の認定を取得しました。

旧病院施設は、前身の国立伊東温泉病院時代から使用されており、最も古い棟は1961年竣工と、開院時には築40年以上が経過し、老朽化や敷地の手狭さといった問題を抱えていました。このため、新たな場所への移転が不可欠と判断されました。

新病院の建設は2010年11月に着工され、約2年の工事期間を経て2012年11月に竣工しました。新しい病院施設は、伊東市岡196-1に位置し、鉄筋コンクリート造の地上5階建て、延床面積18,628平方メートル、敷地面積21,956平方メートルという規模を誇ります。そして2013年 3月1日、旧病院所在地（鎌田）から新病院への移転・開院が実現しました。この移転に伴い、病院の正式名称が「市立伊東市民病院」から「伊東市民病院」へと変更されています。

新病院での運営開始後、2014年3月31日には、大規模な災害発生時に医療救護活動の中心となる静岡県災害拠点病院としての指定も受け、地域における災害医療体制の強化に貢献しています。

診療体制

伊東市民病院では、多岐にわたる専門的な医療を提供しています。2013年 3月1日現在、17の診療科を設置しており、内科、消化器内科、循環器内科、内分泌代謝内科、心療内科といった内科系に加え、外科、整形外科、脳神経外科の外科系、さらに小児科、泌尿器科、産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科、リハビリテーション科、麻酔科、放射線科など、幅広い診療分野をカバーしています。

医療機関の指定等

地域の中核病院として、以下のような様々な公的指定や承認を受けています。

保険医療機関
救急告示医療機関
労災保険指定医療機関
指定自立支援医療機関（精神通院医療）
身体障害者福祉法指定医配置医療機関
生活保護法指定医療機関
結核指定医療機関
戦傷病者特別援護法指定医療機関
原子爆弾被害者医療指定医療機関
原子爆弾被害者一般疾病医療取扱医療機関
公害医療機関
臨床研修指定病院（管理型・協力型）
臨床修練指定病院
エイズ治療拠点病院
静岡県災害拠点病院
特定疾患治療研究事業委託医療機関
DPC対象病院
小児慢性特定疾患治療研究事業委託医療機関

これらの指定は、当院が提供する医療の質と公共性の高さを示すものです。

旧病院跡地の利用

新病院移転後の旧病院（鎌田）跡地の利用については、一部が進んでいます。2016年1月から旧外来診療棟の解体工事が始まり、その跡地を利用して市民病院職員住宅が建設されました。職員住宅は2017年3月に完成しています。一方、旧X線棟や病棟・サービス棟なども2019年12月頃から順次解体が進められていますが、これらのエリアの具体的な跡地利用計画は現時点では未定となっています。

周辺施設

病院の周辺には、同じ地域医療振興協会が運営を受託している伊東市介護老人保健施設みはらしをはじめ、老人ホームサンリッチ伊東、国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局伊東重度障害者センター（国立保養所）といった施設があります。

交通アクセス

伊東市民病院へは、公共交通機関を利用してアクセスできます。最寄りのバス停は「伊東市民病院」で、伊東駅からは約11分、南伊東駅からは約5分、修善寺駅や伊豆高原駅からはそれぞれ約44分、約46分の所要時間です。伊豆急行線南伊東駅からは徒歩約7分で到達可能ですが、病院はやや高台に位置しているため、バスまたはタクシーでの来院が推奨されています。

地域医療の中核を担う伊東市民病院は、今後も多様な医療ニーズに応え、伊東市の住民の健康維持・増進に貢献していくことが期待されています。

伊東市民病院