伊藤秀史

伊藤 秀史

伊藤 秀史（いとう ひでし）氏は、1959年10月2日生まれの日本の経済学者です。組織の経済学、契約理論、そして行動経済学を主要な研究分野としています。現在は早稲田大学ビジネススクールの教授を務め、一橋大学の名誉教授でもあります。

来歴

石川県金沢市に生を受けた伊藤氏は、三重県四日市市や神奈川県川崎市多摩区で育ちました。神奈川県立多摩高等学校を卒業後、一橋大学商学部にて学び、1982年に卒業。同大学院商学研究科に進んだ後、米国スタンフォード大学へ留学します。スタンフォード大学では意思決定科学を専攻し、1988年にPh.D.を取得しました。

学位取得後のキャリアは国際的な活動から始まりました。1988年から1990年にかけては、カリフォルニア大学サンディエゴ校の国際関係・環太平洋研究大学院で客員助教授を務めました。帰国後、日本の大学で教育・研究活動を展開します。京都大学経済学部助教授（1988年-1996年）、大阪大学社会経済研究所助教授（1996年-2000年）を歴任。この間、1993年にはスタンフォード大学経済学部客員准教授、1998年にはコロンビア大学経済学部客員准教授としても教鞭を執りました。

2000年からは一橋大学大学院商学研究科に移り、長きにわたり研究と教育に従事しました（2017年まで）。その後、2017年から現在に至るまで、早稲田大学ビジネススクール教授として活動しています。2023年には母校である一橋大学の名誉教授の称号を得ています。

研究と評価

伊藤氏の専門分野である組織の経済学、契約理論、行動経済学は、現代経済学の中でも企業や個人の行動原理を深く探求する重要な領域です。これらの分野における国際的に認められる高い研究業績は、日本の経済学界においても高く評価されています。1993年には冲永賞を受賞。特に2003年に受賞した日本経済学会中原賞は、若手研究者による傑出した成果に贈られる権威ある賞であり、氏の業績が国内外で高く評価されていることを示しています。また、2022年から2023年には日本経済学会の会長を務めるなど、経済学界の発展にも貢献しています。

主な著作

（編著）
『組織の経済学』（小林創、宮原泰之と共著）有斐閣、2019年
『現代の経営理論』（沼上幹、田中一弘、軽部大と共編）有斐閣、2008年
『リーディングス 日本の企業システム 第2期』（伊丹敬之、岡崎哲二、藤本隆宏、沼上幹と共編）有斐閣、2005年12月
『インセンティブ設計の経済学』（小佐野広と共編）勁草書房、2003年12月
『契約の経済理論』有斐閣、2003年4月
『日本企業変革期の選択 経済政策分析シリーズ』東洋経済新報社、2002年9月
『リーディングスサプライヤー・システム —新しい企業間関係を創る』（藤本隆宏、西口敏宏、浅沼萬里他と共著）有斐閣、1998年1月
『日本の企業システム』東京大学出版会、1996年6月

（訳書）
『組織の経済学』（ポール・ミルグロム、ジョン・ロバーツ著/今井晴雄、奥野正寛、八木甫と共訳）NTT出版、1997年11月
『経営戦略のゲーム理論 —交渉・契約・入札の戦略分析』（ジョン・マクミラン著/林田修と共訳）有斐閣、1995年9月

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