伊豆箱根鉄道1300系電車

伊豆箱根鉄道1300系電車は、伊豆箱根鉄道駿豆線で使用されている通勤形電車です。老朽化した1100系（元西武701系）の代替として、西武鉄道の新101系を譲り受け、改造を施した上で2008年12月14日から営業運転を開始しました。2024年2月現在、3両編成2本が在籍しています。

概要

1300系は、西武鉄道の新101系を譲り受けた車両です。譲渡にあたっては、4両編成と2両編成を組み合わせて、クモハ1300形 - モハ1400形 - クハ2200形という3両編成を組成しました。先頭車前面には排障器（スカート）が設置され、安全性が向上しています。転落防止幌は撤去されていますが、その台座は残されています。外観は塗装以外には大きな変更はなく、西武時代の面影を残しています。

車体塗装は、伊豆箱根鉄道の伝統である白地に青帯のデザインを踏襲していますが、青帯は太帯1本のみと簡略化されています。客用扉はステンレス無塗装で、これも西武時代からの特徴です。前面は新101系の特徴であるブラックフェイスで、左右の窓上には種別表示器と行先表示器が設置されています。行先表示器には、駿豆線では初めてとなる英字表記が追加されました。

イベント列車としての活躍

1301編成は、2016年12月10日から新101系落成当初の塗装を再現した「イエローパラダイストレイン」として運転されています。2017年からは、「反射炉ビヤガー電車」や「ハロウィン電車」などのイベント列車に優先的に使用され、多くの人に親しまれています。イベント列車として運転される際には、開催日の約2週間前からヘッドマークが装着されたり、側窓にステッカーが貼られたりするなど、特別な装飾が施されます。

2023年11月8日から2024年1月20日まで実施された3000系3506編成「HAPPY PARTY TRAIN」の検査入場中は、黒澤ダイヤのバースデーヘッドマークを装着して運転されました。2024年2月9日〜27日には、2201編成を対象に「川柳電車」が運転され、公募による川柳の入選作品が車内に展示されました。

主要機器

主要機器は、西武時代から大きく変わっていません。主電動機はHS-22436-03RB、主制御器は電動カム軸式MMC-HTB-20Eで、いずれも日立製作所製です。台車は、電動車が住友金属工業製ペデスタル式空気ばね台車FS372、制御車が同FS072を使用しています。電動空気圧縮機 (CP) などの補機は、譲渡に際して出力増強のため換装されました。パンタグラフは東洋電機製造製PT4320Sを中間電動車に2基搭載し、制動装置は発電制動併用電磁直通空気制動 (HSC-D) を採用しています。

譲渡時には、ワンマン運転に対応するための機器が追加され、運転台にワンマン・ツーマン切替スイッチと戸閉め放送スイッチが新設されました。また、各車両の客用ドアには車両・ドア位置案内プレートが、車端部には号車番号表記が貼付けられました。

内装

座席配置は、西武時代と同様にオールロングシートです。譲渡に際して化粧板が張り替えられ、西武2000系更新車と同様のカラースキームとなりました。座席間にはスタンションポールが新設され、安全性が向上しています。連結面には貫通扉はありません。客用扉上部にはLED式の車内案内表示器が千鳥式に設置され、乗客への情報提供に役立っています。また、駿豆線の車両では初めてとなる客用扉開閉時に鳴動するチャイムが設置され、扉開閉アナウンスは運転士によって行われます。

臨時列車

1300系は、定期列車のほかにも、さまざまな臨時列車に充当されています。

反射炉ビヤガー電車
中伊豆ワイン列車
日本酒電車「イズシカトレイン」
チューハイトレイン「ハイリキ電車」
いずはこねふれあいフェスタ
伊豆の国いちご電車
いずっぱこよしもとお笑い電車
韮山反射炉茶の庵お茶エール電車

これらの臨時列車は、沿線の観光振興に貢献しています。

電車操縦体験

三島市のふるさと納税の謝礼品として、1300系を使用した操縦体験が実施されています。大場工場の線路約70mを往復するもので、運転速度は5km/h以下です。体験運転終了後には、電車体験操縦修了証や伊豆箱根鉄道関連グッズがプレゼントされます。

伊豆箱根鉄道1300系電車は、その歴史と活躍を通じて、地域の足として、また観光資源として、多くの人々に愛されています。

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