佐竹義厚

佐竹義厚（さたけ よしひろ）

佐竹義厚は、江戸時代後期の大名で、出羽国久保田藩の第10代藩主であり、佐竹氏の28代当主です。通称は次郎、官位は従四位下侍従、左近衛少将、右京大夫でした。

生涯

第9代藩主・佐竹義和の長男として生まれました。母は北川氏（玲光院）です。幼名は雄丸、徳寿丸と名乗っていました。

文化12年（1815年）に父・義和が亡くなったため、家督を相続しました。この時、家臣の一部から幼少の義厚ではなく、佐竹壱岐守家から後継者を迎えるべきという意見が出ましたが、疋田厚綱が義厚の擁立を主張し、藩主となりました。

文政7年（1824年）には従四位下侍従、右京大夫に叙任されました。天保7年（1836年）には、久保田藩主として長年任命されていなかった左少将への任官を幕府に願い出ます。これは、先代までの4人の藩主が早世したために実現しなかったものでした。2年後、再度願い出て左少将に昇進しましたが、この昇進のために多額の費用を要しました。

弘化3年（1846年）に35歳で亡くなり、秋田市の天徳寺に葬られました。

藩政

父・義和の時代に再建された藩財政でしたが、義厚が藩主になった当初は幼少であったことや、義和の早世、さらに義厚の治世中に凶作などの天災が相次ぎ、藩の借金は44万両にも膨れ上がりました。

成長した義厚は、この財政難を打開するため、質素倹約、家臣団の不正取締り、男鹿半島東部の湖岸地帯の開拓、六郷村の開発などの藩政改革を断行しました。しかし、同時期に出没するようになった異国船への海防警備の費用も重なり、財政はさらに悪化しました。また、貧民救済のため「市場以外商工業禁止令」を制定しました。

系譜

子女は2男3女です。

父：佐竹義和（1775-1815）
母：玲光院（1792-1821） - 北川氏
正室：鋭（瑤台院）（1812-1840） - 前田利幹の娘
継室：素姫（月鏡院）（1819-1842） - 池田斉稷の長女
側室：見崎（松仙院、松操院）（1810-1868） - 阿部氏
長女：孝（1835-1836） - 夭折
次女：佳子（1837-1868） - 伊達宗徳継室
三女：鑑（1837-1839） - 夭折
次男：佐竹義睦（1839-1857）
側室：福島氏
長男：武丸（1832-1832） - 夭折

義厚の治世中の主要家臣

文政10年（1827年）刊行の須原屋版の江戸武鑑に見られる義厚の主要な家臣は以下の通りです。なお、掲載内容は文政10年以前の可能性が高く、武鑑の掲載都合により実際の藩職名と相違する場合があることに注意が必要です。また、実際の武鑑には【家老など】という項目はないが、久保田藩以外でも加判職には項目名をつけない。

【家老など】

佐竹河内
佐竹中務
佐竹左衛門
佐竹大炊助/石塚源一郎
疋田斎（厚綱）
小瀬又七郎
向右近

【用人】

小介川正左衛門
町田大之進
中安主典
長瀬平右衛門
平沢為八（定府）

【御城使】

関口半八
田中伊織
田代左記（定府）
安田五郎兵衛（定府）

偏諱を受けた人物

渋江厚光（藩家老）
多賀谷厚孝（久保田藩檜山所預、佐竹義許の実父）
疋田厚綱（家臣）

参考文献

家臣人名事典編集会「三百藩家臣人名事典1」（新人物往来社、1987年）
「編年江戸武鑑・文政武鑑5」(柏書房)

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