伊那バス

伊那バス株式会社について

伊那バス株式会社（INAbus co., Ltd.）は、長野県伊那市に本社を構えるバス事業者です。南信地方を拠点として、伊那市内の一般路線バスの運行や、箕輪町・南箕輪村・松川町のコミュニティバスの受託運行を担っています。また、中央高速バスや中央道高速バスにも参入し、長野県と首都圏、名古屋、大阪を結ぶ高速バス路線も展開しています。

主な営業所

伊那バスは、以下の営業所を拠点に事業を展開しています。

伊那バス本社営業所
伊那バス箕輪営業所
伊那バス松川営業所
伊那バスターミナル（旧称：伊那営業所）
駒ヶ根バスターミナル（駒ヶ根営業所）

かつては辰野営業所も存在しましたが、現在は廃止されています。

歴史

伊那バスの歴史は、1919年（大正8年）に伊那自動車として創業したことに始まります。同年には会社設立も行われ、地域における旅客輸送の役割を担い始めました。その後、戦時統合を経て一時的に信南交通株式会社に統合されましたが、1949年には再び独立を果たし、1975年に現在の伊那バス株式会社へと商号を変更しました。

2000年代以降は、路線の廃止や運賃改定、バスターミナルの改築など、社会の変化に対応した様々な取り組みが行われました。2001年には、ジェイアールバス関東伊那支店との間で回数券の共通利用を開始し、利便性の向上に努めました。

2017年には、伊那バスターミナルの大規模な改築工事が行われ、一時的に発着場所が変更になりましたが、同年12月に工事が完了し、再びバスターミナルからの発着が再開されました。2020年には、駒ヶ根バスターミナルが閉鎖され、窓口機能が駒ヶ根営業所に集約されました。

高速バス

伊那バスは、以下の高速バス路線を運行しています。

中央高速バス：駒ヶ根・伊那と新宿を結ぶ路線や、飯田と新宿、立川を結ぶ路線があります。
中央道高速バス：箕輪・伊那市・駒ヶ根市と名古屋を結ぶ路線です。
みすずハイウェイバス：飯田・駒ヶ根・伊那と長野を結ぶ路線で、アルピコ交通長野支社・信南交通との共同運行です。
アルペン伊那号：阪急観光バスと共同で運行する、大阪方面への路線です。かつては信南交通も運行に携わっていましたが、2022年に撤退しました。

これらの路線は、各地域の主要都市を結び、ビジネスや観光の足として利用されています。

アルペン伊那号

特にアルペン伊那号は、伊那地域と関西を結ぶ重要な路線です。かつては阪急バスとの共同運行でしたが、現在は阪急観光バスとの共同運行となっています。2016年には、一部便がユニバーサル・スタジオ・ジャパン (USJ) 発着に変更され、観光客の利便性も向上しました。2022年には信南交通が撤退し、現在は伊那バスと阪急観光バスの2社による共同運行となっています。

ベイブリッジ号

ベイブリッジ号は、伊那バスが単独で運行する横浜方面への高速バスです。かつては京急観光バスや信南交通も運行に携わっていましたが、現在は伊那バス単独で運行されています。ただし、京浜急行バスや信南交通は、予約・発券業務などの運行支援を継続しています。この路線は、飯田駅前と横浜駅東口を結び、都市間の移動を円滑にしています。

一般路線バス

伊那バスは、地域住民の生活を支える一般路線バスも運行しています。

イーナちゃんバス：西箕輪線は、伊那市街と信州大学農学部・西箕輪方面を結びます。運賃は150円から310円です。
若宮・美原線：伊那市街と若宮・美原地区を結ぶ路線で、2021年に路線名が変更されました。
大鹿線：大鹿村への唯一の公共交通手段であり、地域住民の生活を支えています。
駒ヶ岳ロープウェイ線：駒ケ根駅と菅の台バスセンター、しらび平を結ぶ路線で、中央アルプス観光との共同運行です。
南アルプス登山バス 鳥倉線：夏季限定で運行される登山バスで、南アルプスへの登山客に利用されています。
伊那本線：伊那市、南箕輪村、箕輪町の3市町村からの委託により運行されている路線で、ジェイアールバス関東との共同運行です。

これらの路線は、地域住民の日常生活や観光客の移動をサポートしています。

過去の路線

かつては、伊那本線や新山線、地区循環路線など、多くの路線が運行されていましたが、時代の変化とともに廃止されました。伊那本線は、かつて伊那と辰野を結ぶ重要な路線でしたが、2010年に全面廃止されました。新山線や地区循環路線も、2019年、2021年にそれぞれ廃止されています。

コミュニティバス

伊那バスは、以下の自治体のコミュニティバスの運行を受託しています。

箕輪町「みのちゃんバス」：箕輪町内を運行するコミュニティバスで、伊那バスが運行を委託されています。平日のみ運行し、一部路線はスクールバスとしても機能しています。
南箕輪村「まっくんバス」：南箕輪村内を運行するコミュニティバスで、伊那バスが運行を委託されています。村のマスコットキャラクター「まっくん」が描かれた車両が使用されています。
松川町「まつかわフルーツバス」：松川町内を運行するコミュニティバスで、伊那バスが運行を委託されています。一部路線は2023年3月に廃止され、乗合タクシー「チョイソコまつかわ」に移行しました。

車両

伊那バスは、日野自動車製の車両を多く使用しています。山岳地帯や降雪地であることから、一部路線ではツーステップバスを使用しており、バリアフリー法に対応しながらも、安全な運行を心がけています。

車両には、年式、車種、号車番号が記載されており、それぞれに意味があります。車種は、高速車、小型・中型車、大型路線車などに分類され、車両管理に役立てられています。

まとめ

伊那バスは、長野県南信地方を中心に、多岐にわたるバス路線を運行する事業者です。一般路線バスから高速バス、コミュニティバスまで、地域住民や観光客の移動を支えています。長い歴史の中で、路線の廃止や再編、コミュニティバスの運行委託など、変化に対応しながら事業を展開してきました。今後も地域社会に貢献するバス事業者として、その役割を果たしていくことが期待されます。

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