佐々木秀義

佐々木秀義：源頼朝挙兵を支えた武将の生涯

佐々木秀義は、平安時代末期に活躍した武将です。近江国蒲生郡佐々木荘を領する有力者であり、源頼朝の挙兵に大きく貢献した佐々木四兄弟の父として知られています。

名門の出自と華麗なるキャリア

秀義の出自は名門でした。母方の伯母は藤原秀衡（もしくは藤原基衡）と結婚しており、自身は源為義の娘を妻に迎え猶子となりました。この事実は、当時の佐々木氏が既に相当な勢力を持っていたことを示唆しています。また、宇都宮宗円の娘との婚姻関係を示す系図も存在します。

保元元年（1156年）の保元の乱では、後白河天皇方の源義朝に属し、勝利に貢献しました。続く平治元年（1159年）の平治の乱でも義朝方として戦い、義朝の嫡男である義平と共に戦いましたが、義朝方は敗北を喫します。

奥州での潜伏と頼朝への貢献

敗戦後、秀義は伯母の夫（もしくは従兄）である秀衡を頼って奥州へ逃亡を試みますが、相模国の渋谷重国に保護されます。渋谷荘で20年間を過ごし、重国の娘を娶り、五男の義清をもうけました。

治承4年（1180年）、源頼朝が伊豆国で挙兵した際、秀義は大きな役割を果たします。平家の家人である大庭景親から頼朝討伐の密偵を受けた秀義は、息子の定綱を頼朝のもとへ急いで派遣し、危険を知らせました。その後、秀義は息子たちである定綱、経高、盛綱、高綱を頼朝の挙兵に参戦させます。その功績により、本領である佐々木荘を安堵されました。

最期の戦い

元暦元年（1184年）7月、三日平氏の乱において、秀義は五男の義清と共に反乱鎮圧に向かいます。伊賀・伊勢に潜伏していた平家方残党、平家継・平信兼らと甲賀郡上野村で激戦を繰り広げ、90名余りを討ち取る活躍を見せますが、壮絶な最期を遂げ、73歳で戦死しました。その功績を認められ、死後近江権守を贈られました。

佐々木氏の隆盛と秀義の遺産

佐々木秀義の生涯は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての激動の時代を生き抜いた武将の一つの例として、重要な意味を持ちます。彼の活躍は、佐々木氏の隆盛の基礎を築き、後の歴史に大きな影響を与えました。保元・平治の乱、そして源頼朝の挙兵と、日本の歴史の転換期における彼の存在は、注目に値します。また、彼の息子たち、佐々木四兄弟は頼朝に仕え、鎌倉幕府の成立に貢献しました。

参考文献

今井尭ほか編『日本史総覧』 3（中世 2）
国史大辞典編集委員会 編『国史大辞典』 6巻
黒板勝美『新訂増補国史大系・尊卑分脉 第3篇』
滋賀県蒲生郡（編）『近江蒲生郡志 巻2』
佐々木紀一「佐々木氏勲功伝承と『平家物語』」『山形県立米沢女子短期大学紀要』第43号
防長新聞社山口支社編 編『近世防長諸家系図綜覧』
復刻 田村哲夫編修 編「寄組佐々木家」『近世防長諸家系図綜覧』

関連作品

テレビドラマ『鎌倉殿の13人』（2022年、NHK大河ドラマ）

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