佐々木雄堂

佐々木雄堂

佐々木雄堂（1897年 - 1964年）は、大正から昭和期にかけて活躍した曹洞宗の僧侶、郷土史家、教育者、思想家です。佐賀県佐賀市にある平安山龍泰寺の住持を務めました。

生い立ちと学歴

佐々木雄堂は、佐賀県佐賀市赤松町にある平安山龍泰寺の住職を務める佐々木家の長男として生まれました。佐々木家は代々、佐賀県神埼市の吉祥山泰蔵院の住持職を世襲する家柄であり、雄堂は龍泰寺の住職に迎えられました。母方の家系は、佐賀藩祖である鍋島直茂の正室、陽泰院の甥にあたる石井茂成の子孫でした。雄堂は、駒澤大学仏教学部で学び、卒業後に父の跡を継いで龍泰寺の住持となりました。また、神埼市の泰蔵院の住持職も兼務しました。

龍泰寺と地域活動

龍泰寺は、戦国大名である龍造寺隆信が創建した名刹で、佐賀県出身の元勲である大隈重信の菩提寺としても知られています。佐々木雄堂は、龍泰寺の住持として寺の維持に尽力する傍ら、地域活動にも熱心に取り組みました。大政翼賛会佐賀県支部常任委員を務めたほか、龍泰寺境内に私塾「西濠書院」を開き、青少年の教育にも力を注ぎました。当時、佐々木家は、高伝寺（旧佐賀藩主鍋島家菩提寺）の住持を務める高閑者家とともに、佐賀県曹洞宗の双璧として重きをなしました。一時期は、宗龍寺（佐賀市）の住持職も佐々木家が務めていました。

研究と交流

佐々木雄堂は、生涯を通じて『葉隠』と『南洲翁遺訓』の研究に励みました。晩年には、「大隈重信侯誕生地記念会」の活動にも参加し、大隈重信の著書『母より受けたる感化』の復刻版の編集者も務めました。大隈侯爵家をはじめ、最後の沖縄県官選知事である島田叡や、葉隠研究の第一人者である栗原荒野とも親交がありました。特に、島田叡とは親密な間柄で、島田が佐賀県警察部長から沖縄県知事に赴任する際には、『葉隠』と『南洲翁遺訓』の二冊を贈り、激励したという逸話は有名です。

親族

佐々木雄堂の親族には、以下のような人物がいます。

成富政一：陸軍大佐（従兄）
石井利雄：海軍中尉、造船技師（従弟）
江下孝：労働省職業安定局長（義弟）
徳永久次：経済企画事務次官、通商産業事務次官、新日本製鐵副社長、石油公団総裁。（縁戚）

佐々木雄堂は、宗教家としてだけでなく、教育者、思想家、郷土史家としても、多岐にわたる分野でその才能を発揮し、地域社会に大きな足跡を残しました。

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