高伝寺

高伝寺

高伝寺は、佐賀県佐賀市にある曹洞宗の寺院で、山号を恵日山と称します。この寺は、梅の名所としても広く知られています。

歴史

高伝寺は、1552年（天文21年）に龍造寺氏の家臣であった鍋島清房によって、禅宗寺院として創建されました。その後、鍋島清房の孫にあたる勝茂が初代藩主となった佐賀藩鍋島家の菩提寺となりました。1871年（明治4年）には、最後の佐賀藩主である鍋島直大が、各地に散在していた鍋島家先祖の墓と、かつての主君であった龍造寺家の墓をこの地に集め、整備しました。そのため、龍造寺隆信や佐賀藩の歴代藩主の墓所がここにあります。

文化財

高伝寺には、佐賀県の指定重要文化財や佐賀市の指定文化財が数多く存在します。

佐賀県指定重要文化財

釈迦堂：本堂内に位置し、正面と側面がそれぞれ1間（約1.8メートル）の総ケヤキ造りの建物です。生漆で仕上げられており、1655年（承応4年）に初代藩主の鍋島勝茂が、父である直茂と母である陽泰院の菩提を弔うために釈迦三尊像を安置しました。この建物は禅宗様建築の特徴を示しています。
紺紙金字法華経7巻：12世紀の第3四半世紀頃に制作されたと考えられている装飾経です。その美しい装飾が特徴的です。
釈迦・迦葉・阿難図（狩野探幽筆）：鍋島勝茂が、幕府の御用絵師であった狩野探幽に依頼して制作された絵画です。中央に合掌する釈迦の立像、左右には釈迦の弟子の迦葉と阿難が座像で描かれています。

佐賀市指定文化財

大涅槃像：紙本著色で、1706年（宝永3年）に制作されました。本紙の大きさが縦1281.4cm、横520.5cmであり、描表装を含めると縦1514.0cm、横609.8cmにもなる日本最大級の涅槃図です。明兆筆の仏涅槃図（東福寺蔵）をほぼ忠実に写していますが、高伝寺の涅槃図の方が2回りほど大きく、縦横比率も縦長になっています。この涅槃図は、佐賀藩3代藩主の鍋島綱茂の発願により制作されたことがわかっています。損傷が激しかったため、九州国立博物館で約2年をかけて修復されました。通常は高伝寺内で一部分のみが公開されていますが、修復後初めての一般公開では九州国立博物館で全体が公開されました。
御位牌所：1896年（明治29年）に建立された建物で、唐風の花頭窓と棧唐戸、ギリシャ風の柱に支えられた破風造りの向拝が特徴です。内部には、鍋島光茂が寄進した阿弥陀如来像と、龍造寺家と鍋島家の202霊を祀る位牌が安置されています。位牌の中には、高さ1.34メートルにもなる大きなものもあります。
木造鍋島忠直坐像：本堂に安置されている冠を含めて高さ50センチの坐像です。忠直に仕えた江副金兵衛によって作られました。江副金兵衛は像を藩主光茂に贈った後、忠直に殉死しており、これを受けて光茂は1661年（寛文元年）に追腹禁止令を発布しました。これは、幕府の殉死禁止令よりも早い時期のものです。
高伝寺墓所：墓所の正面と東側には龍造寺隆信をはじめとする龍造寺家一族の墓碑が、西側には鍋島家一族の墓碑が並んでいます。

高伝寺の梅

霊徳寿梅：樹齢約400年の古木で、「霊徳寿梅」と呼ばれています。佐賀郡春日村の玉林寺から鍋島直茂に贈られたと伝えられています。この梅は、佐賀市の指定天然記念物となっています。

その他

高伝寺には、幕末に活躍した副島種臣とその兄である枝吉神陽の墓所があります。また、大隈重信が子供の頃に遊んだとされる樹齢600年と推定される槙の木（八太郎槇）も境内にあり、佐賀県による「さが名木100選」に選定されています。さらに、漫画家の針すなおの生家でもあり、住職を務めたこともあるという歴史もあります。

高伝寺は、その歴史と文化的な価値から、佐賀を訪れる際にはぜひ訪れたい場所の一つです。

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