佐久間氏

佐久間氏：三浦氏流、尾張を拠点とした武家

佐久間氏は、桓武平氏の流れを汲む三浦氏の支流にあたる日本の氏族です。家紋は丸の内に三引両を用います。三浦義明の孫である佐久間家村を祖としています。

概要

佐久間氏の起こりは、三浦義明の三男・義春の四男である家村が、安房国平群郡狭隈郷（現在の千葉県安房郡鋸南町下佐久間・上佐久間）を領したことに始まります。家村の養子となった朝盛（和田義盛の孫）は鎌倉幕府に仕えていましたが、建暦3年（1213年）の和田合戦に敗れ、越後国奥山荘（現在の新潟県胎内市）へ逃れました。その子である家盛が、承久の乱での功績により上総国夷隅郡（現在の千葉県勝浦市、御宿町）と尾張国愛知郡御器所（現在の愛知県名古屋市昭和区御器所）を恩賞として賜り、その地に子孫が定住しました。

尾張佐久間氏

盛通（与六）は家村から数えて10代目（または13代目）の孫とされており、その子孫は御器所、山崎城のほか、久六盛重・盛次系、河内守系、奥山氏系、信晴・信盛系の4家に分かれました。

戦国時代には、盛通の孫にあたり一族の総領であった盛重（大学允、盛経の子）と、その後を継いだ信盛（信晴の子）が織田信長の重臣として仕えました。盛重は桶狭間の戦いで戦死し、信盛は石山合戦後の粛清により天正8年（1580年）に追放されました。

盛通の末子である盛重（久六）の子・盛次の系統からは、盛次の長男で柴田勝家の甥であり、与力として北陸で戦った金沢城主・盛政が知られています。しかし、盛政は賤ヶ岳の戦いの敗戦により捕らえられ、処刑されました。この敗戦により佐久間一族の勢力は衰退しました。その後、盛政の娘・虎姫が中川秀成（盛政が賤ヶ岳で討ち取った中川清秀の子。後に豊後岡藩主）に嫁ぎ、秀成は四男の内記を盛次の四男・勝之の養子として佐久間家を再興させようとしましたが、実現しませんでした。後に中川資重と勝之の娘との間に生まれた平兵衛に、新たな佐久間家を興させました。佐久間家は岡藩の客分として存続しました。

盛政の弟である盛次の次男・安政は信濃飯山藩3万石の藩祖となり、勝之は信濃長沼藩1万8,000石の藩祖となりました。しかし、飯山藩は第3代将軍・徳川家光の時代に後継者が絶え断絶となり、長沼藩も第5代将軍・徳川綱吉の時代に不敬により断絶となりました。その後、赦免され勝種の子・盛遠が200俵高で幕臣となりました。また、盛次の三男・勝政は柴田勝家の養子となり、江戸時代を通じて旗本として存続しました。

信盛の子孫は、信盛の子・信栄（正勝）が赦免されて帰参し、その後江戸時代を通じて幕臣として存続しました。幕末の慶応4年（1868年）1月の鳥羽・伏見の戦いにおいて、洋式の幕府歩兵隊の連隊長として戦死した佐久間信久は佐久間信盛の子孫であるとされています。

その他、初代飯山藩主の佐久間安政の子孫系統には、信濃松代藩士・佐久間象山がおり、幕末から明治前期にかけて勝海舟、吉田松陰、高杉晋作、坂本龍馬など多くの偉人に大きな影響を与えました。

主な人物

佐久間家盛：承久の乱で功績を挙げ、上総国夷隅郡と尾張国御器所を賜る。
佐久間盛重：桶狭間の戦いの前哨戦で戦死した一族の総領。
佐久間信盛：織田信長の重臣。
佐久間信栄：旗本佐久間家の祖。
佐久間盛政：「鬼玄蕃」の異名を持つ猛将。
佐久間安政：信濃飯山藩の藩祖。
佐久間勝之：信濃長沼藩の藩祖。
佐久間実勝：茶道・宗可流の開祖。
* 佐久間象山：幕末の思想家。

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