佐竹永海

佐竹 永海について

佐竹 永海（さたけ えいかい）は、1803年に会津で生まれ、1874年にこの世を去った江戸時代後期から明治初期の画家です。彦根藩御用絵師として井伊直弼に仕え、その作品は多くの人々に愛されました。彼の名は周村、字は愛雪とされ、通称は衛司で、多くの号を持っています。主に初め盤玉、後に衛階、永海といった名前で知られています。

幼少期と教育

永海は蒔絵師の家に生まれ、幼い頃から地元の画家、萩原盤山に学びました。14歳のころにはすでに作品を制作しており、画家としての才能を早くから表していました。20歳のときには江戸に出て、谷文晁の画塾、写山楼に入門し、文晁の優れた弟子として成長しました。この時期は、彼の画業に多大な影響を与えたとされています。

創作活動と文人交流

30歳頃には独立し、さまざまな書画会や詩会に参加。そこで名だたる文人や有力者との交流を深めることができました。天保9年（1838年）頃には、彦根藩の大老であった井伊直亮に気に入られ、御用絵師として重用されました。彼はこの時期から本格的に画業にのめりこみます。

弘化元年（1844年）には一時故郷の会津に滞在し、その後も何度か帰省をしています。安政2年（1855年）には剃髪し得度を受け、法橋に叙されるなど、画家としての地位を着実に築いていきました。さらに、井伊直弼の支援があったものの、桜田門外の変により彼の大きな後ろ盾が失われました。しかし井伊家との関係は明治に入っても続きました。

画風と影響

永海の画系は彼の子息たちに引き継がれ、特に継嗣である永湖、養子の永稜、さらには娘婿の永邨などがその後の活動を続けています。永海は文人画、漢画、円山四条派、大和絵に深く通じており、その中でも特に大和絵において優れた力量を発揮しました。彼が手がけた作品は、現在でも高く評価されています。

また、彼は出版物の挿絵も手がけ、随筆家の山崎美成との交流を通じて『提醒紀談』などに絵を提供しています。その中でも明治3年に出版された『横浜八景詩画』の挿絵は、彼の代表作の一つとされています。

人間性と最期

永海はその生涯で16度も結婚し、大酒を好むことで有名でしたが、故郷からの批判を受けることもありました。彼はその特異な人間性から「奇行の画人」と呼ばれ、その独自の道を歩み続けました。享年73歳で、谷中霊園に眠っています。彼の作品や人柄は、現在でも多くの人に語り継がれています。

参考文献

• - 福島県立博物館編集・発行 『福島県立博物館調査報告書第31集 佐竹永海』 1998年3月31日
• - 川延安直『ふくしま近世の画人たち』（歴春ふくしま文庫76）歴史春秋社 2001年

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