佐竹義和

佐竹義和（さたけ よしまさ）

佐竹義和は、江戸時代中期から後期にかけての出羽国久保田藩の第9代藩主であり、佐竹氏の第27代当主です。幼名を直丸といい、通称は次郎。官位は従四位下・侍従、右京大夫。泰峨、知足斎、突故斎、日新斎、荷風亭などの号を持ちました。

生涯

佐竹義和は、第8代藩主・佐竹義敦（曙山）の長男として生まれました。母は側室の三木清（清瀧）です。安永7年（1778年）に嫡子となり、天明5年（1785年）に父の死去により家督を相続しました。天明8年（1788年）には11代将軍・徳川家斉に御目見し、同年12月には従四位下侍従、右京大夫に叙任されました。

義和は藩政改革に積極的に取り組みました。寛政元年（1790年）には藩校（後の明徳館）を設立し、教育の振興に努めました。また、同年には初めてお国入りの許可を得て、藩の状況を視察しました。寛政2年（1791年）には、栗田定之丞を防砂役に任じ、風の松原などの防砂林の造成・保全に尽力させました。さらに、寛政4年（1792年）には産物方を設置し、石川滝右衛門を支配人に任じて、養蚕や漆器、陶器などの工芸品の生産を奨励しました。寛政5年（1793年）には辛労免高を開始し、農民への負担軽減を図りました。寛政7年（1795年）には各郡に郡奉行を設置し、農政の効率化を図りました。文化2年（1805年）には賀藤景林を林政改革に、栗田定之丞を防砂林保全に当たらせ、藩の財政基盤を強化しました。

文化4年（1807年）には、択捉島が露米会社の武装集団に襲撃されるシャナ事件（文化露寇）が発生し、幕府から蝦夷地警備を命じられました。これに対し、義和は陣場奉行の金易右衛門ら約600人を派遣しました。文化11年（1814年）には、石川滝右衛門の献言により絹方役所を設置しましたが、技術不足により失敗しました。また、菅江真澄に地誌の編纂を依頼するなど、文化的な活動も支援しました。文化12年（1815年）に久保田城で死去、享年41。

文化・芸術

義和は詩歌や書画にも造詣が深く、多くの作品を残しました。文化人としての側面も持ち合わせていました。

秋田蕗のエピソード

義和が江戸で秋田蕗の巨大さを自慢した際、他の大名に信じてもらえなかったというエピソードが伝えられています。このため、領民が巨大な蕗を江戸に運び、藩主の名誉を回復したとされています。しかし、このエピソードの初出は、馬場文耕が書いた『秋田杉直物語』に佐竹義峯の事として記述されており、また山本周五郎の小説『蕗問答』では義和の父である佐竹義敦のエピソードとして描かれているため、義和のエピソードとするには矛盾があります。

主な著作

『御道の記』
『千町田の記』
『秋田つれづれ草』

系譜

父：佐竹義敦（1748-1785）
母：清（桂寿院、清瀧）（1755-1829） - 三木宇平太の娘
正室：弥（仙松院）（1772-1816） - 堀田正順の娘

長女：霊性院（1803-1805） - 夭折
側室：三代嶋（玲光院）（1792-1821） - 北川一善の養女、渋谷雄徳の娘
長男：佐竹義厚（1812-1846）
次男：直千代（1813-1818） - 夭折
側室：近藤氏
次女：節（本光院）（1811-1825） - 松平容敬正室
三男：佐竹義尹（1815-1838）
三女：利瑳（浄智院）（1813-1822） - 前田斉泰婚約者
養子
養女：島津斉宣側室 - 鈴木勝直の娘

家臣

文化3年（1806年）刊行の武鑑に掲載された主要な家臣は以下の通りです。

家老
佐竹河内
佐竹将監
佐竹左衛門
佐竹隆之助
岡本又太郎
小野岡大和
大越十郎兵衛
疋田斎（号は松塘）
小野崎庄九郎
用人
藤井監物（諱は俊徳）
田代新右衛門
赤須平馬
関多仲
武藤東衛門
御城使（江戸留守居）
平沢平角（戯作者「朋誠堂喜三二」）
平沢為八（平角の子）
安田敬蔵

偏諱を受けた人物

渋江和光（家臣、渋江厚光の父）
多賀谷和経（家臣、多賀谷厚孝の父）
伊達和宗（家臣、伊達敦重の子）

関連作品

わらび座ミュージカル『龍角散Presents・ゴホン！といえば』（2022年）- 佐竹義和と義堯が登場。

脚注

『三百藩藩主人名事典1』新人物往来社
石井良助「編年江戸武鑑 文化武鑑1」（柏書房）

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