佐竹義邦

佐竹義邦は、江戸時代中期に活躍した武士であり、佐竹氏一門の佐竹北家第12代当主です。佐竹北家は、秋田藩の重臣であり、義邦は角館の領主として藩政に携わりました。彼は、享保3年（1718年）に佐竹義本の子として生まれ、後に従兄弟の佐竹義拠の養子となり、家督を相続しました。

寛延3年（1750年）、養父の隠居により家督を継ぎ、角館城代となりました。宝暦5年（1755年）には、藩主佐竹義明に従い江戸に出府しました。宝暦7年（1757年）、秋田藩内で銀札をめぐる家中の対立が発生しました。この騒動で、義邦は当初、反対派の家老たちから事態収拾を依頼され、城に出府しましたが、銀札推進派からの讒言により、陰謀の疑いをかけられて謹慎処分を受けます。しかし、後に讒言であることが判明し、潔白が証明されたことで謹慎は解かれ、逆に推進派が厳罰に処されました。この騒動での功績により、義邦は500石の加増を受けました。宝暦12年（1762年）には、藩主佐竹義敦の元服の際に加冠役を務めるなど、藩内での重要な役割を担っていました。

明和6年（1769年）、義邦は隠居し、家督を嫡男の義躬に譲りました。天明7年（1787年）に70歳で亡くなっています。

義邦は、武士としての活動だけでなく、文化人としても知られています。谷素外に師事した談林派の俳人であり、「百童」「歴翁」「午時庵」「遷喬」「里麗」といった雅号を用いていました。また、書画にも秀でており、彼の文芸への造詣は、家中にも大きな影響を与え、文芸が盛んになる一因となりました。

参考文献としては、以下のものがあります。
林正崇『図説・角館城下町の歴史』無明舎出版、1982年
山方泰治『秋田人物伝』1923年
* 土居輝雄『佐竹史探訪』

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