佐藤潤象

佐藤潤象

佐藤潤象（さとう じゅんぞう）は、1862年（文久2年）に生まれ、1953年（昭和28年）に没した、日本の実業家であり政治家です。

生涯

熊本県出身の佐藤潤象は、二松学舎で漢学を、同人社で英語を学びました。その後、佐賀県や熊本県の官吏を経て、農商務省の林務官などを歴任しました。

実業家としての活躍

官吏を務める傍ら、佐藤は実業家としても手腕を発揮しました。大韓帝国政府の招きで、大倉喜八郎らと共に釜山埋築株式会社を設立し、その後、牟田口元学と朝鮮瓦斯電気株式会社を設立して専務取締役を務めました。さらに、朝鮮中央鉄道株式会社を設立して専務取締役となり、朝鮮軽便鉄道各株式会社の取締役も務めました。これらの鉄道会社が合併して朝鮮鉄道株式会社が設立されると、同社の常務取締役に就任し、朝鮮半島における鉄道事業の発展に大きく貢献しました。

政治家としての活動

実業界での成功を収めた後、佐藤は政治の世界にも進出しました。1924年の第15回衆議院議員総選挙で熊本1区から無所属で立候補し、当選を果たしました。その後、新正倶楽部に所属し、衆議院議員を1期務めました。1928年の第16回衆議院議員総選挙には立候補せず、政界を引退しました。

家族

佐藤潤象の父は熊本の惣庄屋である佐藤求五です。彼の家族は、息子たちが外交官や官僚として活躍しました。二男の佐藤敏人はサンフランシスコ総領事を務め、その妻である輝子は第六高等学校教授の田中三四郎の長女であり、評論家の石垣綾子の姉にあたります。三男の佐藤朝生は人事院事務総長や総理府総務副長官を歴任し、四男の佐藤正二は外務事務次官や駐中国大使を務めました。長女の華子の夫は、次席国連大使や駐イタリア大使を務めた西田誠哉です。また、孫にあたる佐藤晃一はホテルオークラの社長を務めました。

まとめ

佐藤潤象は、実業家として朝鮮半島の鉄道事業の発展に貢献し、政治家としても衆議院議員を務めた人物です。彼の家族もまた、各界で活躍し、日本の近代史に名を残しました。

参考文献

日本国政調査会編『衆議院名鑑 第1回・1890年～第34回・1976年総選挙』国政出版室、1977年。
衆議院・参議院『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。

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