便の色・尿の色

便と尿の色の重要性

便や尿の色は、私たちの健康状態を把握するための重要な指標です。通常、健康な人の便は黄土色、尿は淡黄色から黄色の色をしています。この色は、古くなった赤血球が分解される過程で生成される色素に起因しています。今回はこのメカニズムと、異常時に見られる色について解説します。

健康な状態の便と尿の色

便と尿に見られる色は、主にビリルビンという色素によって決定されています。赤血球が破壊されると、その成分のひとつであるヘモグロビンが胆汁に変換され、ビリルビンが生成されます。このビリルビンは肝臓で処理され、水溶性の抱合型ビリルビンになり、胆汁とともに腸に運ばれます。腸内では、細菌の働きによってビリルビンがさらに変化し、最終的に便の特徴的な色であるステルコビリンが生成されます。一方、尿の色はウロビリノーゲンが酸化されて生成されたウロビリンによります。

便の異常な色

便の色が異常な場合、その原因は多岐にわたります。以下に主な異常色を挙げます。

黒色便

黒色便は、上部消化管からの出血や鉄剤、ビスマスを含む製剤の影響が考えられます。特に血液が消化酵素により変化し、タールのような黒色を呈することが特徴です。

赤色便

赤色便は、主に消化管や肛門からの出血が原因で生じます。血液があまり変化しないため、赤い色を保持したまま排出されます。出血の部位によっては、暗赤色や鮮血便になることもあります。

灰色便

閉塞性黄疸の場合、肝臓から腸への胆汁の流れが阻害され、通常のビリルビンが腸内に供給されないため、便が灰色になります。尿は暗黄色になることが一般的です。これが腸におけるビリルビンの不足から生じる色の変化です。

黄色・クリーム色便

膵臓の機能障害や脂肪の消化不良によって、便が黄色からクリーム色になることがあります。これは脂肪便と呼ばれ、膵外分泌の問題を示唆することがあります。

尿の異常な色

尿の色が異常な場合も、その原因を見極めることが重要です。

赤色尿

赤色尿は血尿の可能性があり、腎臓や尿路の異常によって引き起こされます。病気の程度によっては、赤血球が混入していないことも多いため、ヘモグロビン尿やミオグロビン尿との鑑別が必要です。

白濁尿

白濁した尿は、膀胱炎やその他の尿路感染の合併症である可能性が高いです。尿に白血球が多く見られる場合は、膿尿として診断されます。尿を遠心分離し、顕微鏡で観察することでその正確な状態を判断できます。

まとめ

身体の便や尿の色は、我々の健康に関する多くの情報を含んでいます。日常的に色に変化が見られた際には、健康チェックの一環としてしっかりと観察し、異常があれば専門家への相談をお勧めします。

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