信州新町美術館

信州新町美術館：信州新町の芸術文化を彩る拠点

長野県長野市信州新町に位置する信州新町美術館は、長野市立博物館の分館として、地域に根ざした芸術文化の発信拠点として重要な役割を担っています。戦後、二紀会創立委員である栗原信氏が信州新町を度々訪れ、美術館建設を熱望したことが、この美術館設立の始まりでした。1961年には条例が制定され、絵画の収集・保存が開始されました。公民館内での展示を経て、1982年には、隣接する有島生馬記念館と同時に現在の美術館が開館しました。

美術館の収蔵作品は、作家本人や篤志家からの寄贈によって成り立っており、その数は約2300点に及びます。コレクションの中心となっているのは、信州新町の風景をこよなく愛した作家たちの作品です。特に、栗原信の水彩画約20点、3ヶ月にわたり水内小学校に滞在して新町の風景画を多数描いた横井弘三の絵画約80点、日本水彩画会創立委員である赤城泰舒の水彩画約450点、版画家の小泉癸巳男の版画と版木約100組200点、そして青山杉雨の書画などが注目に値します。これ以外にも、地元篤志家からの寄付による円山応挙、頼山陽、佐久間象山、向井潤吉、長井雲坪といった著名な作家の書画も収蔵されています。

これらの作品は、常設展示や数回にわたる企画展を通して一般公開され、多くの人々に感動を与えています。美術館は、信州新町の豊かな自然と歴史、そして人々の情熱が織りなす芸術の宝庫として、地域社会に貢献しています。

ミュゼ蔵：酒蔵を再生した個性的な美術館

信州新町美術館の分館として、かつて存在したミュゼ蔵は、町の中心部にある酒蔵を改築したユニークな美術館でした。1階は貸ギャラリーとして活用され、個展やグループ展などが開催されていました。2階では、JIDAデザインミュージアム（日本インダストリアルデザイナー協会）の企画展などが行われ、多様な芸術表現に触れる機会を提供していました。しかし、新型コロナウイルス感染症対策の影響を受け、2020年春頃から休館。2021年には1階部分の廃止が決定され、2022年3月31日をもって閉館しました。

ミュゼ蔵は、歴史的な建造物を活かした現代アートとの融合という点で、独特の魅力を持っていました。その存在は、信州新町における芸術活動の多様性を象徴するものでした。

アクセス方法

信州新町美術館へのアクセスは、車、高速道路、電車、バスなど、様々な方法があります。

車: 国道19号沿いで、長野市内から約40分、安曇野市から約50分、大町市から約40分。
高速道路: 長野自動車道安曇野ICから約50分、上信越自動車道長野ICから約40分。
電車: 最寄り駅はJR東日本長野駅。
バス: 長野駅善光寺口バス乗り場2番から、アルピコ交通「26 新町大原橋線」に乗車し、「新町美術館前」で下車。徒歩約1分。ミュゼ蔵（現在は閉鎖）へは「新町」で下車し徒歩約2分。

信州新町美術館は、信州新町の豊かな自然と歴史、そして人々の創造性を凝縮した貴重な文化的資産です。今後とも、地域社会の活性化に貢献していくことが期待されます。

参考文献

『信州美術館と作家たち』 美術年鑑社 1998年
『信州美術館散歩』 信濃毎日新聞社出版局 2002年
『長野県ミュージアムガイド』 長野県博物館協議会 2017年

関連施設

長野市立博物館
有島生馬記念館
戸隠地質化石博物館

もう一度検索